研究課題/領域番号 |
17K08007
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
中桐 貴生 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (80301430)
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研究分担者 |
櫻井 伸治 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (30531032)
堀野 治彦 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (30212202)
遠藤 良輔 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (10409146)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ため池 / 水質評価 / 光学特性 / COD / TOC / 反射光強度 / 蛍光強度 |
研究実績の概要 |
当該年度においては,当初,実施予定としていたもののうち,「画像解析に関する部分」と「アプリの開発」を次年度以降に実施し,代わりに,当初は次年度以降に実施予定としていた「水質成分が水の光学特性に及ぼす影響のメカニズムに関する検討」を先に行い,「水質と光学指標との応答関数の検討」を重点的に行うことにした.これは,共同研究者間で改めて検討した結果,当該研究で開発を進めている方法による水質の定量推定の精度向上を検討するにあたり,これまで吸光度と水質との関係の定式化は行われてきたが,デジタルカメラが検知する水面からの反射光・蛍光と水質との関係性についての検討がまだ不十分なので,先にこれについてもう少し深く検討を行うべきという結論に至ったためである. 先行研究でも対象とした大阪府立大学中百舌鳥キャンパス周辺の6ため池において約1ヶ月間隔で採水を行い,各試料のCODならびにTOCを溶存成分と懸濁成分に分けて分析を行うとともに,過去の研究でも計測してきた吸光度に加え,今回は反射光強度,蛍光度についても測定し,これら光学指標と各有機成分との関係について調べ,定式化を行った. COD,TOCともに反射光強度,蛍光度のいずれに対しても吸光度の同様に高い相関を示し,反射光強度については250~500nmの波長域でのもの,蛍光度については励起波長290nm,蛍光波長340nmでのものに対し,特に高い相関を示し,CODとTOCとの比較ではCODとの相関がより高かった. 池別に直線回帰分析を行うと,反射光強度でも蛍光度でも決定係数が0.85を超えるような例も見られたものの,全池まとめて分析を行った場合は,決定係数がCODで0.67,TOCで0.71となり,これらの光学指標による両水質指標の定量推定の可能性は有するものの精度向上にはやはり更なる検討の余地があり,次年度以降,引き続き検討を行うこととした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初,当該年に予定していたことを行わなかったため,この部分に関しては「遅れている」と言わざるを得ないが,一方で,次年度以降の2カ年にわたって行う予定にしていた事項を先行して始めることができたので,研究期間全体を通しての進捗状況という観点からすると,「おおむね順調に進展している」と判断している.
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今後の研究の推進方策 |
・実施順序は当初の予定とは異なるものの,基本的には当初の実施計画通りの内容で推進する. ・一般に,ため池における有機成分濃度は年間を通じてあまり大きくないため,より遠くにあるため池も視野に入れ,年平均濃度と水質成分構成にこれまでよりも大きなばらつきをもたせたデータが得られるように調査を行う. ・当該年度の結果を踏まえ,水質の定量推定の精度向上には,ため池ごとの個体差の解消がキーとなることが明らかとなったため,有機成分以外の水質項目との関係性も含めてその解消に向けた検討を行う. ・カメラ撮影画像の処理方法ならびに画像解析アプリケーションの開発については,計画より進捗が遅れているので,次年度については重点的に進める.
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