研究課題/領域番号 |
17K08008
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
鈴木 伸治 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (00459710)
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研究分担者 |
渡邉 文雄 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (20256647)
岡澤 宏 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (30385504)
伊藤 博武 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (50307683)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 気候変動 / 降雨 / 干ばつ / 表面湛水 / 土壌侵食 |
研究実績の概要 |
気候変動に関する政府間パネル第5次評価報告書では,今後,世界的に干ばつの強度や継続時間の増加,大雨の頻度,大雨時の降水量が増加する可能性があると報告している(IPCC,2014)。干ばつや大雨といった気象の極端現象は,作物の生育を制限するような農地土壌の極端な乾燥と湿潤を引き起こす可能性がある。また日本の畑地の多くは黒ボク土であるため,黒ボク土畑において,気象の極端現象の増加が土壌の極端現象の発生に与える影響について明らかにすることは意義が大きい。そこで本研究では,気象の長期データがあり,黒ボク土が広く分布する東京都世田谷区と北海道網走市を対象に,気象の極端現象が土壌の極端現象の発生に及ぼす影響について検討するとともに,土壌の極端現象の発生頻度の推移を明らかにすることを目的とした。なお本研究では,土壌表層のマトリックポテンシャルが生長阻害水分点(-1000 cm)に到達,ないしはそれを下回る程度の乾燥を極端な乾燥,一方で,湿害や土壌侵食の要因となりうる土壌表面の湛水を極端な湿潤と考え,検討を行った。 我が国の農地でも,作物の正常な生育を脅かすほどの乾燥をもたらす連続干天と,土壌侵食の要因となる湛水を引き起こす強度の大きい降雨について,それらの発生頻度がともに,有意な増加傾向であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H29年度の研究計画では,立案した項目1:降雨パターンの長期変動傾向の解析,項目2:乾燥に対するリスク評価,項目3:湿潤に対するリスク評価,を行うことを予定していた。概ね達成できているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画で立案した項目4:リスク軽減農法の開発について対象地を選定し,野外観測を開始する予定である。 項目1,2,3を継続して行い,降雨パターンの変動が農地土壌に及ぼす影響の解明と,作物による粗孔隙形成を活用したリスク軽減農法の確立について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究打合せや試料採取で計画していた出張について,予定よりも少ない回数で業務を遂行することができ,旅費の支出を抑えることができた。一方でH30年度には,野外観測での土壌調査のために,デジタル貫入式土壌硬度計(大起理化工業)を購入する必要性が生じたため,次年度使用額を充てる予定である。
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