研究課題/領域番号 |
17K08012
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
田頭 秀和 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, ユニット長 (40414221)
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研究分担者 |
増川 晋 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 研究領域長 (00414459)
向後 雄二 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30414452)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フィルダム / 亀裂発生メカニズム / 地震 / 貯水 |
研究実績の概要 |
貯水状態のフィルダムの地震時の挙動を再現するための遠心載荷振動模型実験と数値解析を実施し,地震時の堤体内部の詳細な変位分布と振動特性およびその履歴を把握した.具体的な手順は以下の通りである. (1) 自然土(笠間土:風化花崗岩質の土)を用いて,均質なフィルダム堤体模型(高さ20cm,奥行き40cm,堤頂幅6cm,上下流斜面勾配1:2.5,)をD値90%で均質に締め固めて作製した.模型に30Gの遠心力を載荷した後に模型底面から13cm高さまで貯水を行って模型堤体に浸透させた. (2) 変状の進行を詳細に把握できるように,最大目標入力加速度0.5~8.0 m/s2で15段階で(のべ24回)漸増しながら模型堤体に明瞭な破壊が生じるまで振動させる遠心載荷振動模型実験を実施した.作用させる地震波は,比較検討を容易にするために,規則的な波であるサイン波を使用した.各段階での模型の挙動(堤頂部中央の変位と応答加速度)を計測するとともに,模型断面の画像を記録した.加振終了時点で,上下流両側斜面の堤頂部から少し下がった箇所と下流側斜面の浸出面付近を中心に堤軸方向のクラックの発生が認められた. (3) 高精度に面的な変位分布を認識できる画像解析によって変位履歴を分析した結果,加振が進むにつれて下流側の浸潤面下領域で下流方向への変位が卓越することが判った.また,貯水状態のフィルダムの地震時挙動を想定した全応力解析を実施した結果,特徴的な現象として,浸潤面付近でせん断ひずみが集中することが判った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
模型実験の実施に際して改良が必要な事象が認められ,その対応に多大な時間がかかり,本実験の遂行が年度末近くにずれ込んだたため,有効応力解析に替えて簡便な全応力解析で数値解析による一次的な評価を行った.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度と異なる自然土(ダムまたはため池堤体からの採取を予定)を用いて,平成29年度と同様の遠心載荷振動模型実験,画像解析等を実施する.また,平成29年度および30年度に使用した土質材料の実験結果について有効応力解析を実施するとともに,その中間的な物性を有した材料の地震時挙動について,数値解析によるパラメータスタディを実施し,これらを比較・分析することで,堤体材料特性による貯水状態のフィルダムにおける亀裂の発生・進展メカニズムを明らかにする. さらに,多種類の地震波を作用させた数値解析によるパラメータスタディ,および,過去に実施した,貯水がない状態での挙動との比較を行い,地震波の種類や貯水の有無がフィルダムにおける地震時の亀裂の発生・進展に与える影響を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
<理由> 購入した物品の価格が想定より低価格で納品されたため. <使用計画> 「その他」(実験用治具等製作業務)に加算して使用する.
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