本研究では,ブランチングや脱水方法など凍結前処理方法を数種類に変えて青果物を凍結する。また,数種類の解凍法も適用する。これらの処理において減圧過熱水蒸気加熱も適用する。凍結前処理も含め,凍結および解凍過程における青果物の物理的特性や品質特性を測定し,前処理方法や解凍方法が青果物の品質特性に及ぼす影響を明らかにする。また,減圧過熱水蒸気加熱法を青果物以外の加熱処理に適用する。 本年度は再現性を確認するために昨年度に引き続き,生のニンジンとブランチングを施したニンジンを用いて脱水凍結に関する研究を行った。脱水した各試料を急速凍結(-40℃のエタノールに浸漬)した。凍結した試料を-20℃で1週間貯蔵した後,解凍した。解凍は減圧過熱水蒸気加熱解凍法と空気解凍法により行った。各処理前後の試料の物理的特性や品質特性,凍結および解凍時における試料温度変化を測定した。その結果,測定データの再現性が確認され,凍結時間および解凍時間の短縮,色彩の保持の観点からブランチング後の脱水凍結処理および減圧過熱水蒸気解凍は有用であることが示された。 その他,ズッキーニ,ダイコン,カットキャベツの脱水凍結に関する研究を実施し,これらの青果物への脱水凍結の適用可能を調査した。脱水に関して,青パパイアの熱風および減圧乾燥特性を測定した。その結果,いずれの乾燥方法においても,含水率と乾燥時間の関係は,初期含水率から含水率500%までは一次式,含水率500%以下では指数モデルで表された。カットキャベツの乾燥方法も検討した結果,風速7m/s程度にすれば温度30℃で,品質を維持したまま乾燥可能であることが示唆された。脱水凍結の前処理として,マイクロ波加熱によるジャガイモのブランチングに関する研究も行った。その他,過熱水蒸気を殺菌にも適用するために,装置改良を検討した。
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