研究課題/領域番号 |
17K08028
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
張 樹槐 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (90261429)
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研究分担者 |
叶 旭君 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (10708168)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | インタラクタンス測定 / 分光計測 / 内部成分 / 非破壊計測 |
研究実績の概要 |
平成29年度は,主に自作したインタラクタンス測定装置を用いて,弘前大学附属藤崎農場で収穫した果肉まで赤いリンゴ「紅の夢」を対象に,供試果実の硬度,密度などの食感に関係している物性の測定や糖度,酸度,アントシアニン,クロロフィルなどの内部成分の分析及び果皮と果肉の分光データの収集を行い,それらの関連性についての統計解析を実施した。主な結果は以下の通りである。 1 自作したインタラクタンス測定装置と果実表面との垂直距離を0,1,2,4㎜と設定して測定した分光データと,果皮や果肉の化学成分との間に明らかな関連性が確認され,しかも異なる測定距離でのデータの活用が内部成分の推定精度向上に有効であることが強く示唆された。 2 自作したインタラクタンス測定装置における光源と測定プローブとの水平距離を約2,4,6㎜と設定して測定した分光データと,果皮や果肉の化学成分との間にも相関が確認され,それらの有効活用が化学成分の推定精度向上に役に立つと示唆された。 3 自作したインタラクタンス測定装置は,分光データの取得に問題なく機能しているが,測定精度などの課題があり,次年度は既に専門業者に改良してもらった機器を用いて,今年度の実験結果の検証及び内部成分の推定モデルの構築を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H29年度は,分光計測のためのインタラクタンス測定装置を自作して測定等を行って,異なる測定距離での分光データが果実の内部成分推定精度の向上に利用できるとの予想が概ね確認できた。 しかしながら,自作した装置に測定データの安定性と測定精度に課題があり,それを解決するため,自作装置と同じ原理のものを既に専門業者に作成してもらった。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度は,製作した新インタラクタンス測定装置を用いて,昨年度の結果を検証しながら,以下のことを実施する予定である。 1 非破壊的測定用統計推定モデルの検討 平成30年度の実測データを用いて,前年度構築した統計モデルの推定精度や問題点を検討しながら,推定モデルの改良などを行う。 2 光源とプローブとの光路長の影響の検討 昨年度のデータでは,異なる光路長の分光データを積極に利活用することで,内部成分の推定精度向上の有効性が示唆されたので,これについて詳細に検討する。 3 食品や他の農産物への応用 構築したシステムを利用して,ラ・フランスなどの洋ナシの食べ頃判定や食品の品質検査などへの応用可能性をも模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
専門業者に依頼したインタラクタンス測定装置の改良などを考えて,繰越額を決定した。
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