研究課題/領域番号 |
17K08036
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
深津 時広 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業技術革新工学研究センター, 上級研究員 (40355483)
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研究分担者 |
内藤 裕貴 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業技術革新工学研究センター, 研究員 (20794118)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 画像解析 / 時系列データ / 移動計測 |
研究実績の概要 |
作物の生育画像から花や果実などを検出するにあたり、実際の現場環境では対象物が葉や茎などで隠れることも多く、また時間とともに対象は花から果実と形態が変化するため、単純に画像単体に対して高度な解析手法を用いたとしても検出が難しい。そこで与えられた画像だけで解析処理するのではなく、その画像と関連が深い時系列画像データや別の視点からの画像データの情報をまとめて効率的に利用できるようなシステムを構築し、目的とする対象を精度良く検出・推定できる解析処理手法の確立を目指す。 本年度はこれまでに提案した時系列画像データによる手法と別視点画像データによる手法を組み合わせ、総合的なシステムとしての評価や2つの手法を融合することで生じる課題や利点について検討を行った。時系列画像データを見た場合、対象物は位置および形態による特徴量パラメータが変化するため検出推定精度が低下する。これを補間するため、時系列画像に検出のためのメタデータを付与したが、更に同じ検出対象に対し別視点画像データを用いて最も検出強度の強い画像を利用することで、より効果的な検出推定が行われる傾向を確認できた。また別研究者の研究課題と連携し、時系列画像データや別視点画像データに風圧などの外乱を意図的に加えることで、より効果的に目的とする対象を検出できることが確認された。一方で、外乱によって時系列画像や別視点画像が連続的に推移せず提案手法の特徴が低減するため、検出対象がある程度の範囲内で不連続となった場合でも提案システムが利用できるような紐づけ手法を構築できれば、より効果的なものになると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の研究実施計画の通り、昨年度までに行ってきた時系列画像データを活用した処理手法および別視点画像データを活用した処理手法を用いて、総合的なシステムとしての評価を行った。また更に外乱を意図的に加えるといった手法を組み込むことで、より効果的な検出が可能となる傾向を見出すことができた。いくつかの点でまだ解決すべき課題が残されているものの、令和元年度研究実施計画に対して、ほぼ予定通りの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度では、これまでに明らかになった研究成果の一部をとりまとめて原著論文を作成した。2020年度には、残りの研究成果を取りまとめて新たな原著論文を執筆するため、提案した総合的なシステムによる追実験やシステムの改良を進めるとともに、意図的に外乱を加える新たな手法をも組み込めるよう、課題を解決するための研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
先の進捗状況に述べたとおり、本年度は昨年度までに開発した実験装置を用いて総合的な実験を行いつつ新たな手法についても検討を始めた。これによって明らかになった解決すべき新たな課題に対し、2019年度に研究成果を発表する予定だった国際学会が中止となったことで浮いた費用などの未使用額を用いて、研究をすすめるとともに成果を公表するための原著論文の作成などに、残額を効率的に使用する予定である。
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