| 研究課題/領域番号 |
17K08041
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| 研究機関 | 新潟大学 |
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研究代表者 |
杉山 稔恵 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10272858)
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| 研究分担者 |
二宮 禎 日本大学, 歯学部, 准教授 (00360222)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 骨 / 筋 / クロストーク / オステオカルシン |
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| 研究実績の概要 |
現在、肉用鶏においては脚弱が、産卵鶏においては破卵が頻発し、養鶏産業に大きな損失をもたらしている。これらは、成長期において十分な骨量や骨密度を有した骨格が構築されないため、急激な体重増加や高い産卵性に耐え切れず発症する。したがって、脚弱や破卵を防止するには、強固な骨格を構築することが不可欠である。本研究では、骨と筋のを介したクロストーク機構を明らかにし、破卵や脚弱の発生防止を目指した強固な骨格の構築を試みる。
本年度は、以下の結果が得られた。肉用鶏ならびに産卵鶏の胚発生期における孵卵16日、18日および20日の骨組織（胸骨ならびに肋骨）および筋組織（胸筋、鳥口上筋ならびに鳥口腕筋）を採取し、各組織から分泌されるマイオカイン等の因子について、リアルタイムPCRでその発現量を検討した。その結果、筋組織ではミオスタチン、インスリン様成長因子-I(IGF-I）が、骨組織ではIGF-I、スクレロスチン、オステオカルシンが発現していた。しかしながら、ミオスタチン、IGF-Iならびにスクレロスチンの発現量は肉用鶏と産卵鶏の間で差はなく、発生に伴う変化も観察されなかった。一方、オステオカルシンは筋組織の発達の著しい肉用鶏の骨において、産卵鶏と比較して、孵卵期間を通じて高く、孵卵経過とともに増加していた。また、免疫組織化学的にオステオカルシンの局在を検討したところ、肋骨内部の海綿骨と骨周囲の骨膜に局在していた。以上のことから、骨よりオステオカルシンが分泌され、筋組織の発達に関与している可能性が示唆された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、肉用鶏ならびに産卵鶏の胚発生期おいて、筋組織ではミオスタチン、IGF-Iが、骨組織では、IGF-I、スクレロスチン、オステオカルシンが発現していた。しかしながら、ミオスタチン、IGF-Iならびにスクレロスチンの発現量は肉用鶏と産卵鶏の間で差はなく、発生に伴う変化も観察されなかった。一方、オステオカルシンは筋組織の発達の著しい肉用鶏の骨において、産卵鶏と比較して、孵卵期間を通じて高く、孵卵経過とともに増加していた。また、免疫組織化学的にオステオカルシンの局在を検討したところ、肋骨内部の海綿骨と骨周囲の骨膜に局在していた。以上のことから、骨よりオステオカルシンが分泌され、筋組織の発達に関与している可能性が示唆された。今後、オステオカルシンに着目した研究を推進することにより、骨と筋のクロストーク機構が解明されることが期待される。また、今後、筋から分泌される骨代謝調節因子を明らかにする予定である。
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| 今後の研究の推進方策 |
これまでに、骨から分泌されるオステオカルシンが筋組織の発達に関与していることを示唆した。今後は、筋細胞の培養系を用い、オステオカルシンの筋細胞への直接的な作用について検討する必要があると考える。また、オステオカルシンの生成と分泌を促すものとして運動によるメカニカルストレスが予測される。したがって、発生期の胚の運動性を抑制あるいは促進させ、オステオカルシンの発現量に及ぼすメカニカルストレスの影響を検討する。加えて、育成期ならびに成鶏の骨格構築に及ぼすメカニカルストレスの影響について、筋と骨とのクロストーク機構の観点から明らかにする。
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