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2017 年度 実施状況報告書

但馬牛の長期的な遺伝的多様性維持における系統造成の有効性

研究課題

研究課題/領域番号 17K08045
研究機関神戸大学

研究代表者

大山 憲二  神戸大学, 農学研究科, 教授 (70322203)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード和牛 / 遺伝的多様性 / 但馬牛 / 近交係数 / 集団の有効サイズ / シミュレーション
研究実績の概要

現在、黒毛和種のなかで最も遺伝的多様性の減少が危惧されているのは閉鎖育種として著名な兵庫県の集団(但馬牛)である。平成29年度は次年度以降の基礎資料とすべく、但馬牛の血統情報を解析し、集団を特徴づけるパラメータの推定を行った。
但馬牛集団の近交係数(Fit)は年々上昇し、2014年に誕生した種牛の平均は24.6%に達していた。これは全国平均の3倍に相当する高さである。また、2000年以降は1年間に平均41頭の種雄牛が供用されていたが、有効数に換算すると6.6頭/年であり、さらに血縁関係まで考慮するとわずか1.7頭/年の種雄牛で但馬牛集団の繁殖が行われていることが明らかとなった。
平成30年度以降の研究に必要となるパラメータのうち、世代間隔(2000年以降)は父牛→息牛の経路が12.2年、父牛→娘牛が11.7年、母牛→息牛が9.0年、母牛→娘牛が7.9年で、4つの平均は10.2年となっていた。そこで但馬牛集団の1世代を10年と考え、1960年以降10年毎に供用されている種牛の有効数を調査したところ、繁殖雌牛では経時的な変化は少ないことが明らかとなった。一方、種雄牛の有効数は、1960年から1969年の間は68頭であったが、1965年から1974年の間は32.8頭であり、この間に急速に有効数が低下していた。その後、1970年から1979年までの10年間では27.6頭、1980年から1989年までは12.2頭と低下していた。近年の有効数の平均は、繁殖雌牛が6,978頭、種雄牛は9.8頭となっていることから、次年度以降のシミュレーションでは、供用される種雄牛は毎世代10頭、繁殖雌牛は7,000頭程度で実施するのが妥当であると考えられた。
2000年以降の近親交配率は0.19%/年であり、このままのペースで近親交配が継続すれば、15世代後のFitは40%を超えると予想された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度は血統情報を精査の上、集団構造を特徴づけるパラメータの推定を行うことを目標としていた。これには、F統計量、有効サイズ、遺伝的多様性指数などが含まれ、過去から現在に至るこれらのパラメータの経時的変化を把握し、遺伝的多様性の現状を把握することが目的であった。
平成29年度は、これらのパラメータの推定を行い、経時的変化に対する考察を行ったほか、平成30年度から実施する長期的なシミュレーション実験のために必要なパラメータ、とくに世代間隔と世代毎の有効数を算出するプログラムの開発も完了し、当初の計画を実行できた。

今後の研究の推進方策

平成30年度以降は、長期的(おおよそ15世代先)なシミュレーションを行うためのプログラム群の開発と実行を行うこととしている。
まず平成30年度は、ベースとなる現在供用中の集団(現存集団)から無作為な選抜と交配を繰り返した際に集団構造がどのように変化するのか調査する。調査対象となる項目は、F統計量などの集団構造を特徴づけるパラメータとする。この過程でシミュレーションを行う上で必要な反復回数の決定も行う。ここで得られた結果を以降の結果の比較の基礎として活用することとなる。
以上の基本のシミュレーションを実施した後、集団をグループに分割して選抜を行うなど、選抜の方法や頭数を種々変化させて、それらの違いによる集団構造の変化を検討する計画としている。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、平成29年度に計画していた研究成果発表のための外国出張が学務上のスケジュールの問題もあり中止したためである。平成30年度以降も海外をはじめ成果発表を行う機会をもちたいと考えており、それらの旅費として使用する計画である。

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公開日: 2018-12-17  

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