研究課題/領域番号 |
17K08049
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
横尾 正樹 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (10396541)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 近赤外光 / 初期胚 / ミトコンドリア / マウス / 家畜 |
研究実績の概要 |
今日,体外で生産した初期胚を利用して産子を得る受精卵移植技術は,畜産分野では優良家畜の増産や家畜改良に,医療分野(産婦人科領域)では不妊治療に欠かせない技術となっている。しかしながら,体外における初期胚の人為的操作は,初期胚の品質(生存性,活力)の低下,さらには受胎成績の低下にもつながることから,初期胚の品質を改善させるための技術開発が急務となっている。 最近,申請者らは近赤外光が初期胚の品質を改善する働きがあることを明らかにした(Yokoo and Mori. 2017)。しかし,その詳細なメカニズムは未だ明らかになっていない。初期胚における光応答機構を明らかにすることができれば,エビデンスに基づく新しい初期胚の品質改善技術を確立することができ,家畜生産や不妊治療に及ぼす波及効果は極めて大きく,これらの分野の発展に大きく貢献することが期待される。 これまでの研究成果から,近赤外光の作用は初期胚のミトコンドリア機能に関連することが示唆される。そこで,近赤外光が初期胚の発生能を制御する分子基盤を明らかにするために,平成29年度においては,マウス胚のミトコンドリア機能に着目して解析を行った。その結果,ミトコンドリアの細胞内分布については大きな変化は確認できなかったものの,近赤外光が初期胚のミトコンドリア活性を向上させることを初めて明らかにすることができた。なお,当初計画のあった初期胚の吸光特性の解析は,予定を変更して,次年度に実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部予定していた研究内容を変更したものの,概ね計画していた研究を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,マウス胚のミトコンドリア機能に着目した解析を行うとともに,初期胚の吸光特性について解析し,最適照射条件を分析する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文校閲費分として寄せていたが,年度内に研究成果を原著論文として国際誌へ投稿するまでに至らなかった。平成30年度中に投稿予定としているので,平成30年度予算と合わせて使用する計画とする。
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