研究課題/領域番号 |
17K08050
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
河原崎 達雄 東海大学, 農学部, 教授 (70500247)
|
研究分担者 |
若山 友彦 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (70305100)
大竹 正剛 静岡県畜産技術研究所, 中小家畜研究センター 養豚・養鶏, 上席研究員 (90605677)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ブタ / ゲノム編集 / CADM1 / ノックアウト / 精子形成 / 細胞接着分子 |
研究実績の概要 |
1)CADM1ノックアウトブタの対照として用いるため、野生型の一般ブタ(デュロック種)の精巣における発育に伴う精細胞の発生過程を解析した。14日齢では、精細管上皮には多くのセルトリ細胞とともに精祖細胞が見られた。60日齢では、多くの精祖細胞は基底膜に到達していた。90日齢では、細胞分裂像が見られ、内腔に精母細胞が出現していた。150日齢では、内腔側に精子細胞と考えられる小型の円形細胞が出現し、内腔が明瞭になった。このように、ブタの発育に伴う精細胞の生理的な発生過程を確認することができた。 2)体内生産胚を用いてゲノム編集胚を作製し、2頭の受胚豚に39個、および22個の胚を移植したが受胎しなかった。エレクトロポレーション処理後の胚を確認したところ、64%の胚が退行しており、エレクトロポレーション条件の検討が必要であることが判明した。 3)エレクトロポレーション後の胚の発生率低減を防ぐため、体外受精胚におけるエレクトロポレーション条件について検討した。媒精後のエレクトロポレーションまでの時間が胚の発生に与える影響を確認した。媒精6時間、9時間、および12時間後にエレクトロポレーション刺激を与え、その後の胚の発生状況を観察した。その結果、胚発生率は6時間後で0%(すべて退行変性)、9時間後で11.4%、および12時間後で28.7%となり、今回の実験下では媒精後エレクトロポレーションまでの時間が長いほど胚の発生率が高くなる(P<0.01)ことが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)14~150日齢において、野生型ブタの精巣組織内における精子形成過程について解析した。ブタ精巣において、CADM1は、中間型からB型精祖細胞、前細糸期から厚糸期の精母細胞と伸長精子細胞に発現し、円形精子細胞やセルトリ細胞には発現しないなど、おおむねマウスにおける発現に類似していることが明らかとなった。 2)確認された遺伝子配列を基に、Exon1およびExon4の遺伝子領域を増幅する複数のPCRプライマーを設計し、ブタ胚からのDNA増幅条件を検討したところ、Nested PCR法を利用することにより目的の領域の遺伝子を増幅することが可能となった。 3)crRNAを設計し、エレクトロポレーション法で、ブタ単為発生胚に対してゲノム編集を実施し、CRISPR/Cas9システムで、エレクトロポレーション法により効率的にゲノム編集が可能であることを証明した。 4)体内生産胚を用いてゲノム編集胚を作製し、2頭の受胚豚に39個、および22個の胚を移植したが受胎しなかった。そこで、エレクトロポレーション処理後の胚を確認したところ、63.6%の胚が退行変性していた。 5)体外受精胚におけるエレクトロポレーション条件について検討した。その結果、胚発生率は6時間後で0%、9時間で11.4%、および12時間で28.7%となり、今回の実験条件下では、媒精後エレクトロポレーションまでの時間が長いほど胚の発生率が高くなる(P<0.01)ことが明らかとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
1)有効性が確認されたCADM1遺伝子のExon1およびExon4領域に設定したcrRNAを用い、胚発生に影響のない条件下においてエレクトロポレーション法によりゲノム編集を行い、レシピエントブタに移植しCADM1遺伝子ノックアウトブタを得る。 2)ゲノム編集の行われた個体について、精巣の発育、精液採取可能時期、精液性状等を確認したうえで、精巣の組織について解析する
|
次年度使用額が生じた理由 |
残額は1,145円のみである。
|