研究課題/領域番号 |
17K08055
|
研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
神作 宜男 麻布大学, 獣医学部, 教授 (60333142)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | プロラクチン / 等電点 / アイソフォーム / 糖鎖 |
研究実績の概要 |
ニワトリ発生胚発生胚の17日、18日、19日および20日の下垂体を採取し、42度30分間のM199培養液で前培養を行い、その後100nMのVIPを含むM199培養液で60分培養を行い、培養液中に分泌されたプロラクチンの分子動態を限外濾過により濃縮した後に二次元ウェスタンブロット解析により分析した。その結果、昨年度に検出された分泌されたプロラクチンの糖鎖付加型の増加が二次元ウェスタンブロットでも確認された。中でも糖鎖付加型プロラクチンは分子種として4種類から5種類存在することが示された。そしてシグナルの増加は主として等電点が中程の糖鎖付加型アイソフォームの量が大きく増加することで達成されることが判明した。 比較対象として成鶏の産卵中、就巣直前、就巣中の個体を用いて同様の実験を行なうために、ウコッケイを用いて行動試験を行い、産卵から就巣に移行する際の行動再現性を確認した。その結果、就巣発現直前の特異的行動として休産日明けのクラッチより産卵のためにうずくまる時間が長くなって行くことを確認し、この産卵行動のパターンは同一個体でなんども繁殖サイクルを通じて再現されることを確認した。この行動再現性を元に、産卵期、就巣直前期の個体同定を行い、就巣期の下垂体とともに培養実験を発生胚と同様に行い、繁殖サイクルを通じて成鶏では発生胚で示されたメイン分子種の他にもやや等電点が低い分子種もほぼ同量存在することが判明し、下垂体の発生分化に伴ってプロラクチンの量的変化とともに、等電点の異なる糖鎖付加型のアイソフォーム比率が変化することが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発生に伴う下垂体における糖鎖付加型プロラクチンの量的および質的変化が明らかにされたことから、最終的な分化は視床下部における分泌制御因子の発現と下垂体における糖鎖付加関連遺伝子の発現によって主として制御されていることが判明したこため。 また、繁殖サイクル中における視床下部での発現遺伝子のRNAseqを試み、発生胚における遺伝子発現変化をする遺伝子にあたりをつけられたため。
|
今後の研究の推進方策 |
過去2年の研究成果より、下垂体におけるプロラクチン細胞の分化は下垂体の視床下部因子に対おする反応性の変化、糖鎖付加型の量的質的変化を制御する酵素遺伝子の発現、および視床下部における分泌制御因子の発現変化によって支配されていることが判明したことから、最終年度は発生胚下垂体および視床下部のRNAseqにより分化に関わる遺伝子の絞り込みを行い、繁殖サイクル中の遺伝子発現変化を比較を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
RNAseq解析を外注したが、受注会社の社内連絡ミスにより試料の解析が1ヶ月弱行われなかった。そのために、支払い額が確定しないまま年度末になったため、解析結果が出るまで実験を停止したため。
|