研究課題/領域番号 |
17K08063
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
黒川 勇三 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (00234592)
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研究分担者 |
小櫃 剛人 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (30194632)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 乳牛 / グルタチオン / ビタミンC / 乳房炎 / 生存時間解析 / 2項ロジスティック検定 / ライフサイクル / 初産分娩月齢 |
研究実績の概要 |
高泌乳牛のホルスタイン種で生産寿命短縮が大きな問題になっている。その原因のひとつに、乳房炎(CM)があげられる。広島大学農場のデータを解析し、CMが乳牛の繁殖成績や除籍率などに及ぼす影響を解析した。CM発症は、乳生産を低下させ(P<0.05)、除籍率を高め(P<0.05)、分娩間隔を延長させる傾向があった(P<0.1)。乳牛のライフサイクルの早期に明確になる要因である初産分娩月齢(AFC)が、CM発症に関連する傾向があった(P<0.1)。 血中グルタチオン(GSH)、ビタミンC(VitC)の濃度と乳房炎発症との関連に関するデータ蓄積と統計解析を行った。産次と分娩後日数グループ(DIMg, 1-95日、96-190日、191-285日、286日以上に区分)がGSHとVitCに及ぼす影響は有意ではなかった。2項ロジスティック検定により、DIMgごとのCM発症の有無と、GSH階級(最大値と最小値の範囲を3等分)とに有意な(P<0.05)関連性が認められ、GSHが高い階級でDIMgごとのCM発症率が低かった。VitCとDIMgごとのCM発症率との関連性は認められなかった。生存時間解析により、個体ごとのGSHおよびVitCの階級が、泌乳期間を通じたCM発症率の推移に及ぼす影響を解析したところ、産次にかかわらず、GSHの階級が及ぼす影響が有意(P<0.05)で、GSHが低い群で、乳房炎発症率が早期に増加し、泌乳期を通じて高く推移した。 以上のことから、乳牛における全血中GSH濃度は乳房炎発症と関連し、濃度が高いほうが乳房炎発症率が低くなると示唆された。AFCは乳牛のライフサイクルの早期にあらわれ、乳房炎の発症との関連が示唆され、ライフサイクルの適切な管理に活用できる可能性がある。血中抗酸化物質濃度との関連の調査は、AFCが乳房炎と関連するメカニズムの解析に寄与する可能性がある。
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備考 |
本研究の一部は、Relationships between milk production, clinical mastitis incidence, and reproductive performance with the culling rate and lifetime of dairy cows at Hiroshima University Farm, ASJ誌に投稿中。
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