研究課題
本課題は細胞培養系を用いて、有用な家畜の創出のためのバイオマーカーの候補としてPaired Box 7 (Pax7)に着目して解析を行っている。これまでPax7は筋肉幹細胞に発現する遺伝子であり、筋肉細胞においては分化初期のマーカーとして広く知られている。このような早期マーカーのメカニズムを知ることで、筋肉ー脂肪組織がどのようにして形成されているのかを明らかにすることで、食肉の質向上を目指すことを上位目標としている。今年度の実績として、Pax7を脂肪前駆細胞に強制発現させた細胞株を樹立して解析を進めた結果、Pax7の発現株では脂肪滴の形成が阻害された。また脂肪分化マーカーの発現も抑制されていた。これらの結果から、Pax7は脂肪細胞の分化を抑制することを明らかとした。さらに、新たな肉質の指標となるマーカーを探索しており、ペルオキシソームに発現するNudix Hydrolase 7 (Nudt7)に着目しNudt7が筋肉細胞分化に与える影響についても検証を行っている。
2: おおむね順調に進展している
これまでに得られたPax7発現脂肪前駆細胞の分化抑制機構については結果をまとめ論文を投稿している。さらに、この細胞を筋肉細胞へ分化誘導できる培養条件の検討を行っている。さらにNudt7が筋管の筋線維タイプによる発現変動が認められるか実験を進めている。
現在も、筋肉細胞分化が可能な脂肪様細胞とはどのような特徴を持つものなのか、分子生物学的手法を用いて解析を進める。さらに、Pax7が脂肪細胞マーカーを抑制するメカニズムについてもプロモーターアッセイ等を用いて解析を行う予定である。
平成29年度に計画していたRNA-seq解析をRT-qPCR解析法に変更した。RT-qPCR法で必要な試薬類はRNA-seq法に比較して安価であり、短時間で結果を得ることができた。平成30年度はこのRT-qPCR解析法で得られた結果を展開し、細胞培養やタンパク質解析をさらに進める予定である。以上の理由からH30年度使用額の執行には問題ないと考えている
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K003166/research.html