研究実績の概要 |
本研究では、日本における牛寄生Eimeria属原虫の種識別法を開発し、牛コクシジウム症の新たな診断法を確立することを目的とする。今年度は、得られたEimeria種のITS2領域の配列に基づき,Eimeria種特異的なプライマー(alr-1, auf-2, bor-2, bukir-3, car-1, cyf-4, cyr-1, elf-1, suf-2, sur-1, wyf-2, wyr-3, zuf-2)を設計した. また, 18S rDNA領域の配列を解析し、Isospora belli(DQ060658), cryptospor-idium purvum(AF040725)の配列より設計したEimeria属共通のプライマーespfおよびespfzを設計した. espfおよびespfzを 1st PCRのプライマーとし、alr-1, auf-2, bor-2, bukir-3, car-1, cyf-4, cyr-1, elf-1, suf-2, sur-1, wyf-2, wyr-3, zuf-2を2nd PCRのプライマーとして組み合わせることで、Eimeria種特異的なnested multiplex PCR法の開発を試みた。Eimeria各種のオーシストから抽出したtotal DNAを用いて種特異的増幅産物が得られたことから、日本における牛寄生Eimeria属原虫の種を識別する簡便なnested multiplex PCR法の開発に成功した。次年度は新規開発したnested multiplex PCR法の臨床応用を検討することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本に分布する牛寄生Eimeria10種(E. bovis, E. ellipsoidalis, E. zuernii, E. auburnensis, E. cylindrica, E. canadensis, E. wyomingensis, E. alabamensis, E. bukidnonensis, E. subspherica)のオーシストから抽出した全DNAを用いて、開発したnested multiplex PCR法が特異的増幅することを確認できたため。
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