研究実績の概要 |
精巣毒性物質メトトレキサートのメダカ成魚期曝露が精巣組織に及ぼす影響に関する作用機序を解明することを目的とした解析を実施した。具体的には(1)精巣構成細胞特異的因子 (TP1,TP2, TH2B, P19, Oct3/4, FSHR, LHR m-RNA)および(2)アポトーシス関連因子 (Bax, Bad, Bid, Bik, Bim, Bcl-2, Bcl-xL m-RNA)に着眼しリアルタイムPCR法を用いた解析をおこなった。メトトレキサートの曝露を受けたメダカ精巣において、精原細胞特異的因子Oct3/4 m-RMAおよび精母細胞特異的因子TH2B, P19 m-RMAの発現が有意に減少していた。また、当該メダカ精巣では、アポトーシス促進因子であるBax, Bad, Bid, Bik, Bim m-RNAの発現は有意に増大し、抗アポトーシス性因子であるBcl-2, Bcl-xL m-RNAは有意に減少していた。以上の結果より、メダカ成魚におけるメトトレキサート誘発精巣障害の発症・進展機構にはアポトーシスが大きく関与し、精巣を構成する細胞のうち、精原細胞および精母細胞がメトトレキサートに対し特に強い感受性を示すことが明らかとなった。今後は、メトトレキサート以外の精巣毒性物質カドミウム、フルオロ酢酸、ニトロベンゼンによって誘発されたメダカ精巣障害における、精巣構成細胞特異的因子およびアポトーシス関連因子に着眼した発症・進展機構の解析を実施する予定である。
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