狂犬病は、重篤な神経症状を主徴とするウイルス性人獣共通感染症である。本病はワクチンによって予防可能であるものの、ひとたび発症した場合の有効な治療法は無く、その致死率は100%にのぼる。しかし、狂犬病ウイルスが高い病原性を示すメカニズムの分子基盤は不明な点が多いのが現状である。本病の治療戦略を開発するうえで、ウイルスがどのように宿主の免疫系を逃れているかを知ることは重要である。本研究では、自然免疫の発動に重要なシステムとして近年発見された「ストレス顆粒形成」を狂犬病ウイルスが抑制することを明らかにした。
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