研究課題
新規G5 HEVを作製し、細胞培養系を樹立する近年、新規のHEV株がラクダ、イノシシ、ヘラジカ、レッドフォクス、ウサギ、ラット、ミンク、フェレット、およびコウモリなどの非霊長類から続々と発見されているが、これらのウイルスに対して人が感受性を有するか否かは明らかになっていない。イノシシから分離したG5および G6 HEV、ウサギから分離されたRabbit HEVはヒト由来G1-G4 HEVと同じSpecies Aに属している。他のHEV株との遺伝学的な比較からヒト由来のHEVと類似することが明らかになっている。新規HEVに関してもヒトへの感染性の有無についても早急に解明する必要がある。ただし、新規ウイルスの入手が困難のため、リバースジェネティック法を用いて、新規ウイルスの作製が必要である。本年度はリバースジェネティック法を用いて、G5 HEVの感染クローンを作製し、G5 HEVの培養方法を樹立した上、さらにサルへの感染性を評価することによりヒトへの感染性を推定する。まず、体外で合成したCapp構造を持つ全長G5 HEV RNAを合成し、それをヒト肝癌細胞PLC/PRF/5細胞にトランスフェクションした。細胞培養上清からG5 HEV構造蛋白および全長RNA配列が検出され、リバースジェネティック法によるG5 HEVの作製に成功した。また、回収したウイルスがPLC/PRF/5細胞とA549細胞に感染することも確認されたのでG5 HEVの培養方法が樹立した。さらに、ヒト由来の異なる遺伝子型HEVに対する抗体がG5 HEVに対する中和活性を有することによってG5 HEVの抗原性と血清型がヒト由来HEVに類似することが明らかになった。G5 HEVをカニクイザルに接種し霊長類への感染性が確認され、人獣共通感染症を引き起こす可能性が推測される。
2: おおむね順調に進展している
実験設計が合理である。
1. G5HEVの宿主の同定新規に作出したG5HEVに対するウサギ、ラット、フェレットなどの動物の感受性を検討しウイルスの宿主を同定する。2. 他の新規HEV (G6 HEV、Rabbit HEV、Moose HEV)をリバースジェネティック法を用いてin vitroで作製する。3.DcHEVに対するアカゲザルの感受性および感染モデルとする可能性の検討
年度末納品等にかかる支払いが平成30年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件)
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