研究実績の概要 |
本研究ではGenBankに登録されているHEV-5,HEV-6,HEV-8,Rabbit HEVおよびMoose HEVの全長配列に基づき、Cap構造をもつ全長HEV RNAをそれぞれ合成した。合成したHEV RNAをヒト肝癌細胞PLC/PRF/5にトランスフェクションし、リアルタイムRT-PCR法およびELISA法を用いてHEV RNAおよびHEV構造蛋白を検出し、ウイルスの複製を評価した。 HEV-5 RNAをPLC/PRF/5細胞にトランスフェクションした後、細胞培養上清からHEV-5 RNAとウイルス抗原が検出された。この結果より、リバースジェネティク法を用いたHEV-5 の作製に成功し、HEV-5の細胞培養法を樹立した。HEV-5に感染されたPLC/PRF/5細胞にリバビリンを添加によりHEV-5の複製が抑制されたことによりリバビリンがHEV-5の感染によるE型肝炎の治療に有効であることが示唆された。さらにHEV-5の霊長類への感染性を評価するため、HEV-5をカニクイザルに接種した。接種後、カニクイザルの血清、糞便からHEV-5を、血中から抗HEV IgG, IgM抗体をともに検出された。以上の結果によりカニクイザルはHEV-5に感受性を有することが証明され、HEV-5は人獣共通感染を引き起こす可能性も示唆された。 同じリバースジェネティク法を用いたrabbit HEVの作製が成功したとともにrabbit HEVの培養法も樹立した。さらにrabbit HEVをウサギに接種しその感染性および病原性を検討した結果、rabbit HEVに感染されたウサギでは持続感染が引き起こされたことが明らかになった。 しかし、リバースジェネティク法を用いたHEV-6,HEV-8およびMoose HEVの作製が成功しなかった。現在、その原因を究明している。
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