研究課題
本研究は、カニクイザルにおけるレストンエボラウイルス(REBOV)感染実態を解明するための新たな基盤技術の確立を目指す。サルにおけるREBOV感染症はフィリピンで2015年に19年ぶりに発生し、今後も散発的に発生する可能性があることから、REBOVのスクリーニング方法を確立する必要がある。そこで、リアルタイムPCRによるREBOV特異的遺伝子検出系、REBOVに対するモノクローナル抗体を用いたREBOV特異的抗体検出系の開発を行う。2017年度までにリアルタイムPCRによるREBOV特異的遺伝子検出系を開発した。2018年度は本手法を用いてフィリピンのREBOV感染サル検体からの遺伝子検出を行い、従来のコンベンショナルPCRと同等の結果が得られた。また、REBOVのGPを哺乳細胞で発現させた。精製したリコンビナントREBOV GPをマウスに免疫し、モノクローナル抗体の作製を試みたが、REBOV GP特異的なクローンは得られなかった。今後はGPに対するモノクローナル抗体を得るための抗原調製方法を変更し、ウイルスベクターを用いたREBOV GPの発現系を検討することとした。一方、REBOV NPに対するモノクローナル抗体をハイブリドーマから精製した。この精製NP抗体を競合ELISAに用いた。各種ウイルスNPを免役したウサギ血清を用いて検討したところ、競合ELISAにより抗REBOV NP抗体を特異的に検出できることが確認された。
2: おおむね順調に進展している
REBOVの遺伝子検出系、およびNPに対するモノクローナル抗体を用いた抗体検出系は順調に開発できた。GPに対するモノクローナル抗体調製は継続して行う。
REBOVのGPを哺乳細胞で発現・精製し、マウスに免疫し、モノクローナル抗体の作製を試みたが、REBOVのGP特異的なクローンは得られなかった。今後はウイルスベクターを用いたREBOV GPの発現系を確立し、GPに対するモノクローナル抗体を得るための免疫原となるかどうか検討する。NPに対するモノクローナル抗体を用いた抗体検出系により、サル血清からのREBOV抗体検出が可能か検討する。
年度末納品等にかかる支払いが平成31年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、平成30年度分についてはほぼ使用済みである。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Emerg Infect Dis.
巻: 24 ページ: 1285-1291
10.3201/eid2407.171234.