研究課題/領域番号 |
17K08093
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
星野 有希 岩手大学, 農学部, 准教授 (80523323)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 移行上皮癌 / マクロファージ / 線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
MACS法で単球を継続的に採取して研究を行うにはコストがかかりすぎるために、共培養はプラスチック付着法で分化したマクロファージを用いた。単球より分化させたマクロファージの上に、液性因子のみによる相互作用が可能なセルカルチャーインサートを設置し、インサート内に犬の移行上皮癌細胞株を加え24時間の共培養後にマクロファージのRNAを抽出した。腫瘍の悪性化に関与するとされる因子のmRNA発現量について、マクロファージの単培養を対照に相対定量を行った。老齢のためか採取できるマクロファージの数が少なく、RNAの収量が足りなかったため、遺伝子発現量の測定はVEGF, MMP9、TNF-α、IL-10のみ行った。対照と比べ共培養したマクロファージのMMP9mRNAの発現量が増加する傾向が認められた。なお、VEGF遺伝子について同様の傾向は認められず、また、IL-10およびTNFαに関しては単培養、共培養共に検出限界以下であった。また犬の皮膚を無菌的に採取し、線維芽細胞の分化培養を行ったところビメンチン陽性、サイトケラチン陰性の細胞が採取されたため、今後はマクロファージ・線維芽細胞・腫瘍細胞の共培養を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験機器の故障が続き、新規購入やメンテナンス等、実験環境を構築するのに時間を要した。 採血を行える犬が老齢であり、採取されるマクロファージの数が足りず、まとめて実験することができなかった。 またプラスチック付着法では得られる単球の純度が低いため採血量でカバーするしかないが、実験犬は供血犬でもあるため採血量と回数を増やすことが難しかった。
|
今後の研究の推進方策 |
実験環境が整いつつある。また若齢の犬を購入したため採取できるPBMCの数が増えた。しかし実験犬であるのと同時に動物病院の供血犬でもあるため、採血の回数には限界がある。そのため、病院の休診期間を利用して実験の計画を立てる必要がある。また、現在行っているプラスチック付着法ではロスが大きすぎるため、単球接着培地の使用を検討する。採取できる単球の数が増えたら予定している複数の化合物との共培養実験を同時並行で行っていく予定である。 同時にマウスあるいはラットを使った実験にも着手する予定である。膀胱腫瘍を再現するため超音波検査機器を用いて経皮的に膀胱内への腫瘍細胞の移植を試みるが、複数回行っても不可能な場合は腹腔内や背部皮下への接種に変更する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験環境の整備が遅れ、当初予定していた実験がまだ実施できていないために次年度使用額が生じている。必要な機器はだいぶ揃ってきたため、これから遅れている実験の実施が可能であると思われる。使用目的は主に消耗品であるが、使用状況に応じて吸光度計の購入を検討している。
|