研究課題/領域番号 |
17K08096
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
都築 圭子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (30364251)
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研究分担者 |
中山 泰秀 大分大学, 医学部, 客員研究員 (50250262)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生体内組織形成術 / 犬 / 人工角膜 / 角膜移植 |
研究実績の概要 |
平成30年度はまず、犬角膜上皮細胞シートとバイオシートの複合体の作製法を再検討した。具体的には、ビーグル犬を用いてバイオシートを再度作製し、シートの接着を促進するため、曲性のない平坦なバイオシートを作製した。これまでに樹立した犬角膜上皮細胞株で作製した上皮シートを貼付したところ、再現性高く上皮・バイオシート複合体を作製可能であった。なお、犬角膜上皮細胞株の樹立については、国際誌に投稿し受理された(Morita M, et al., Canine corneal epithelial cells possess a sustained proliferative capacity and generate a spontaneously derived cell line. Exp Eye Res.,2018)。 一方、犬角膜内皮細胞の分離・培養を継続しておこない、TGF-b阻害剤、ROCK阻害剤、EGFの添加により、10継代を超えるZO-1およびNa+/K+ATPase陽性細胞を含む細胞の維持が可能であった。しかし、未分化な内皮細胞と考えられる増殖細胞が成熟内皮細胞と比較し支配的に維持される傾向がみられ、移植可能な内皮シートを形成できる細胞の作製には至らなかった。現在、TGF-b/ROCK阻害剤の添加量を調整し、均一な成熟内皮細胞へ分化誘導可能な培養条件の検討を進めており、維持培養した細胞にTGF-b刺激を加えることで、内皮細胞への成熟が促進するかを遺伝子発現、タンパク発現から検討し、上記で作製した犬角膜上皮細胞シート・バイオシート複合体への貼付を試み、3層構造を持つハイブリッド人工犬角膜組織の作製を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
犬角膜内皮細胞の培養法確立が難航しており、移植にまで至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
犬角膜内皮細胞の安定的な培養を目指した培養条件の検討を進めていくが、同時に、角膜全層移植試験を目的として、入手可能なウサギの上皮細胞と内皮細胞およびウサギ由来バイオシートを組み合わせ、ハイブリッド人工角膜の作製を試み、研究期間内にウサギでの移植試験の実施を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
犬での移植実験が開始できず、動物実験へ充てる予定の費用が未使用になったため。
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