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2019 年度 実施状況報告書

イヌのHSP70に結合する新規腫瘍抗原の同定と腫瘍免疫療法への応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K08108
研究機関大阪府立大学

研究代表者

古家 優  大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (30500706)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード腫瘍 / 熱ショックタンパク質
研究実績の概要

熱ショックタンパク質(Heat shock protein: HSP)は、分子シャペロンとして、細胞の生存に関わっている。HSPファミリーの1つであるHSP70は腫瘍細胞において強発現し、腫瘍細胞の生存や腫瘍組織の増大に関連していることが報告されている。また、HSP70は腫瘍細胞内の様々なタンパク質と結合し、細胞外へ放出されることが明らかとなってきており、腫瘍診断マーカーや腫瘍免疫療法への応用が期待されている。HSP70と他のタンパク質との複合体は、抗原提示細胞の細胞膜に結合し、細胞性免疫を賦活化することから、HSP70に結合する抗原タンパク質は強力な腫瘍免疫反応を誘導できる可能性がある。
本研究ではこれまでに、イヌの乳腺腫瘍におけるHSP70の機能について検討するため、HSP70ノックダウン犬乳腺腫瘍細胞株を樹立した。その結果、ノックダウン細胞株では、細胞増殖活性が有意に低下し、さらにドキソルビシンによるアポトーシス誘導が促進される傾向が認められた。さらにcDNAマイクロアレイにより、HSP70ノックダウンにより影響を受ける遺伝子群を同定した。組換えイヌHSP70タンパク質を作製し、それを抗原としたウサギポリクローナル抗体を作製した。ポリクローナル抗体を用いて、イヌの乳腺腫瘍組織におけるHSP70の発現について免疫組織化学により解析を行った。さらに、組換えイヌHSP70タンパク質とイヌの乳腺腫瘍のライセートを用いた共免疫沈降法により、HSP70に結合するタンパク質の同定を試みたところ、これまでに細胞分裂に関連するcyclinB1、細胞骨格タンパクであるvimentin、myosin-9、actinを同定した。特に細胞分裂に関連するcyclinB1に着目し、組換えタンパク質を作製し、イヌHSP70との結合性を確認中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2018年12月から2019年9月まで米国留学により、その期間において研究を中断する必要があったため。

今後の研究の推進方策

令和2年度は、イヌHSP70タンパク質との共免疫沈降で結合タンパク質として同定されたcyclinB1の組換えタンパク質を作製するとともに、イヌHSP70との結合性を再度確認する。すなわち、抗GST抗体を用いたウエスタンブロンティングを実施することにより、複合体が検出されるかどうかを確認する。また、イヌの末梢血単核球より分化させた樹状細胞をHSP70-腫瘍抗原複合体によって刺激し、抗原特異的細胞傷害性T細胞を誘導できるかどうかを検討する。イヌの乳腺腫瘍細胞株に対して、細胞傷害性T細胞による細胞死滅効果が得られたHSP70との複合体は腫瘍免疫賦活化分子として期待できる。

次年度使用額が生じた理由

海外留学期間に研究を中断したことにより、当初の予定よりも研究課題の進行に遅れが生じている。また、HSP70複合体による樹状細胞刺激の実験が未実施であり、消耗品の購入が減少した。次年度はこれらの実験を進める上で、本年度の余剰分と合わせて執行予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Correlation between toll-like receptor 4 and nucleotide-binding oligomerization domain 2 (NOD2) and pathological severity in dogs with chronic gastrointestinal diseases.2019

    • 著者名/発表者名
      Aono K, Azuma YT, Nabetani T, Hatoya S, Furuya M, Miki M, Hirota K, Fujimoto Y, Nishiyama K, Ogata Y, Mochizuki T, Tani H.
    • 雑誌名

      Vet. Immunol. Immunopathol.

      巻: 210 ページ: 15-252

    • DOI

      10.1016/j.vetimm.2019.03.003.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Efficacy of en bloc thoracic duct ligation in combination with pericardiectomy by video-assisted thoracoscopic surgery for canine idiopathic chylothorax.2019

    • 著者名/発表者名
      Kanai H, Furuya M, Hagiwara K, Nukaya A, Kondo M, Aso T, Fujii A, Sasai K
    • 雑誌名

      Vet. Surg.

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1111/vsu.13370.

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Molecular role of heat shock protein 110 in canine mammary grand tumor2019

    • 著者名/発表者名
      Furuya M, Fukui-Kaneshige A, Okada S, Tani H, Sasai K
    • 学会等名
      Asian Meeting of Animal Medical Specialties 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] イヌの乳腺腫瘍におけるHSP110の発現動態の解析2019

    • 著者名/発表者名
      岡田 悟, 古家 優, 谷 浩行, 笹井和美
    • 学会等名
      第162回 日本獣医学会学術集会
  • [学会発表] Effectiveness of en bloc thoracic duct ligation and conventional clipping by video-assisted thoracoscopic surgery in canine idiopathic chylothorax cases2019

    • 著者名/発表者名
      Kanai H, Hagiwara K, Furuya M, Nukaya A, Kondo M, Aso A, Fujii A
    • 学会等名
      Veterinary Endoscopy Society 2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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