研究課題/領域番号 |
17K08110
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
加納 塁 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (00318388)
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研究分担者 |
鈴木 一由 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (30339296)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 乳牛 / 次世代シーケンサー / 乳房炎 / 乳房内細菌叢 / プロトテカ |
研究実績の概要 |
昨年度は、5、6、7、9月に釧路のプロトテカ発生農家で乳汁(50頭)、糞便(50頭)、床(9箇所)、から採材を行い、プロトテカの分離を行った。採材した乳汁から7頭プロトテカ陽性であった。これらプロトテカ陽性乳汁および陰性乳汁(9頭)からDNAを抽出し、細菌のリボゾーム16SのV3-4領域を特異的に増幅するプライマーを用いてPCRを行った。増幅した同領域のライブラリー化後、イルミナ社のMiSeqTM Systemを用いて次世代シーケンサー解析を行った。その結果、プロトテカ感染乳汁中に多い細菌として、Streptococcus spp., Pseudomonas spp. and Sphingomonas spp., Caulobacter segnis, Macrococcus caseolyticus, Methylobacterium tarhaniae, and Sphingomonas leidyiが検出され、特に陰性乳汁と比較してシアノバクテリアのCalothrix deserticaが顕著に検出された。一方、陰性乳汁からは牛の乳汁から分離報告があり、一部陽性乳汁からも分離された細菌が認められた。またCalothrix deserticaは、検出されなかった。 このことからプロトテカ感染乳汁の細菌叢は、非病原性でありながらシアノバクテリアなど藍藻類も増加していることが判明した。何らかの原因によって、乳房内菌叢は大きく変化し、乳プロトテカなど藻類も増加しやすい環境になっていると考えられた。今後、他のプロトテカ感染農家での調査およびこの乳房内環境の変化の解明も必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従って、昨年度は、釧路地域におけるプロトテカ感染乳汁の解析を行うことができた。得られた結果は上述したように新知見をもたらすものと期待され、学術論文として投稿した。ただし得られたプロトテカ感染乳汁のサンプル数がやや少なかったため、プロトテカ乳房炎において普遍的に認められる現象であるか、今後も追加解析が必要である。このように当初予期していないこととして、プロトテカ乳房炎乳汁検体数の不足が挙げられるが、今年度は計画に従って愛知農済においても調査を行うことから、検体数の確保も十分になるはずである。そのため「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度得られた研究結果の再現性を確認するため、研究計画に従って今年度は、愛知県のプロトテカ感染農家について、同様の調査および次世代シーケンサー解析を行う。既に今年度の予備的な調査を行っており、その結果もまとめているため、研究遂行上大きな問題は発生しないと考えている。 計画としては、4月または5月に、プロトテカ発生農家の牛全頭から乳汁を採取し、分離培養をするとともに、DNA抽出を行う。陽性乳汁および陰性乳汁の細菌叢の次世代シーケンス解析を行い、釧路での解析結果との比較を行う。また、プロトテカ乳房炎対策を検討する。このように今年度は、本研究協力者が所属する愛知県下のプロトテカ発生農家について、昨年と同様に乳汁細菌叢の解析を行うため、本研究の進捗に大きな障害は発生しないと考えている。また既にサンプリングについて準備・打ち合わせを行っている。
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