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2017 年度 実施状況報告書

アセチルコリン関連酵素がグリア細胞機能を制御調節する可能性

研究課題

研究課題/領域番号 17K08117
研究機関麻布大学

研究代表者

坂上 元栄  麻布大学, 獣医学部, 准教授 (60348589)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードAChE / ChAT / ACh / グリア細胞
研究実績の概要

本研究の目的は「アセチルコリン(ACh)関連酵素のグリア細胞活性化への制御可能性とその機序について明らかにすること」である。グリア細胞活性化を抑制するAChは, ACh合成酵素コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)とACh分解酵素AChエステラーゼ(AChE)により,細胞周囲のAChが調整されうることから,これらの酵素発現がグリア細胞活性に影響するかもしれない。
本年度は,まず生体でのACh関連酵素の発現を明らかにするため,グリア細胞活性化状態であるマウス脳損傷モデルを用いて損傷処置3日後と7日後の大脳を採材し凍結切片を作製後,AChEとChATの発現がどの細胞に観察されるのかを組織化学染色にて詳細に検討した。損傷部位には神経細胞マーカー陽性細胞はほとんど存在しなかった。損傷3日後には損傷部位には活性化マイクログリアマーカーであるCD68陽性細胞が多く観察され,アストロサイトマーカーであるグリア線維性酸性タンパク(GFAP)陽性細胞は観察されなかった。損傷7日後にはCD68陽性細胞に加えてGFAP陽性細胞も観察された。これらの陽性細胞のほとんどには,AChEとChAT陽性反応が観察された。さらに,酵素組織化学による検討では,脳損傷部位で強いACh分解活性が見られた。この活性はAChE阻害剤で消失した。これらのことから,活性化したマクログリア及びアストロサイトにはAChEとChATが発現局在すると考えられた。これらの脳障害部位でのACh関連酵素が,AChを介してマイクログリア及びアストロサイトへの何らかの影響を及ぼす可能性が推測された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は,脳損傷処置7日後の個体数を増やすとともに,脳損傷処置3日後についても,AChE陽性細胞,ChAT陽性細胞がどの細胞に発現するのかを詳細に検討した。損傷部位には,マイクログリアが遊走し,その後経時的にアストロサイトの割合が増加すること,そして,これらの細胞にはAChEとChATの陽性反応が示されたことから,これらの活性化グリア細胞にAChEとChATが発現していると考えられる。しかしながら,活性化マイクログリアマーカーとして使用したCD68は,活性化マクロファージでも発現することから,最近マイクログリア特異的なマーカーとして報告されたTMEM119に対する抗体を使用して,より詳細な検討が必要であると考える。
細胞培養を用いた実験系では,実験に適したアストロサイトの培養系を検討しているが,アストログリアを単離培養するため,アストログリアマーカーとされるGLAST2抗体を付したビーズを用いて細胞の単離培養を行った。分取した細胞を培養し,各種アストロサイトマーカーに対する抗体で免疫染色したところ,GFAPを発現しない細胞もあった。加えて,活性化処理したこれらの細胞にGFAP発現の増加が見られないことから,アストロサイト初代培養系における活性化状態に誘導する実験系で,GFAPも含めた他の活性化マーカーを指標として,総合的に活性化を評価すること必要であると考える。

今後の研究の推進方策

アストロサイトの初代培養系で活性化状態を再現することが,第一の課題である。より純度の高いアストロサイトの初代培養系を目指し,マグネティックビーズによるアストロサイトの分取を試みたが,活性化状態を上手く検出できなかった。培養系が確立されれば,アストロサイト活性化状態でのChATとAChEの発現と機序について検討が可能である。対策については,多くの論文で報告がある大脳皮質よりアストロサイトを培養する方法(Wu et al., 2010)の方法を用いて,アストロサイトを分取し,実験に使用する予定である。また,コンディショナルノックアウトマウスの作成についても速やかに手続きを進め,導入する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 脳損傷モデルマウスにおけるastrocyte・microglia でのacetylcholinesterase およびcholine acetyltransferase 局在2018

    • 著者名/発表者名
      ○堀尾 朋世,小澤 秋沙, 池本 美貴, 中内 維彌, 佐藤 幸妃, 豊田 紗千乃,坂上 元栄
    • 学会等名
      第123回日本解剖学会総会・全国学術集会,東京

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公開日: 2018-12-17  

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