ウサギ大腸における各分節の組織学的構造と神経組織の構築および神経関連化学物質の分布を明らかにした.腸壁は,結腸紡錘と直腸でもっとも厚く,盲腸でもっとも薄かった.結腸紡錘では粘膜が,直腸では筋層が他の分節と比べてもっとも厚く,粘液細胞は結腸紡錘でもっとも多く,盲腸ではもっとも少なかった.筋層間神経叢の分布および数種の神経関連物質の分布は,近位結腸でもっとも豊富で盲腸で最も疎であった.以上の結果,近位結腸が複雑な腸管運動を行い,結腸紡錘は盲腸糞を包む粘液の分泌に関与し,盲腸は腸内微生物による発酵による栄養素の形成に適した構造を示すことが示唆された.
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