研究実績の概要 |
飼料栄養として抗原受容体の発現を変動させることが知られているフィチン酸給与、そして動物側の要因として免疫関連遺伝子発現や細菌叢に関与する要因として加齢を取り上げた。1日齢の雄ヒナに、市販幼雛用飼料または市販幼雛用飼料に0.1%のフィチン酸を添加した飼料を3週間給与した。腸管部位としては回腸末端に着目しその組織と内容物中細菌を試料とした。腸管組織では腸管バリアに関連する免疫関連遺伝子として、抗原受容体であるトール様受容体(TLR) 2,4および7、βディフェンシン(AvD) 2,4,7,9及び10、免疫グロブリン(Ig)A、ムチン、B及びT細胞の指標であるBu-1及びCD3,4と8のmRNA発現量を測定した。タイトジャンクションの指標としては、ZO2, オクラジン、クラリジン1,3,4,5,16 mRNA発現量を、また、内容物では総細菌, Enterobacteriaceae, Clostridium group, Lactobacillus group, Bacteroides group, Enterococcus sppの16srDNA量を測定し細菌量を推定した。総細菌数とBu-1及びCD3と4、TLR2,4と7、ムチン、IgA、AvD2、オクラジン、クラリジン4,5,16mRNA発現量には正の相関が認められ、また、Clostridium group 数とTLR4, CD3と4, IgA, AvD9と10発現量には正の相関が認められた。一方、Enterobacteriaceaeまたは Enterococcus spp数とCD3と4, IgA, ムチン, AvD2発現量には負の相関が、ZO2, オクラジン、クラリジン5,16mRNA発現量には弱い負の相関が認められた。
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