哺乳類の卵母細胞は,周囲の顆粒膜細胞/卵丘細胞から種々の物質を受け取ることによって発育する。本研究では,ウシおよびブタ卵巣内の初期胞状卵胞(直径約0.5 mmと1.0~1.5 mm)から採取した卵母細胞-卵丘複合体(OCC)を用い,発育途上の卵母細胞を体外で発育させた。発育途上の卵母細胞は,卵丘細胞のみでも体外で最終の大きさへと発育し,成熟能力を獲得した。培養の過程でOCCは発達し,胞状卵胞様の構造を形成した。また,ウシ裸化卵母細胞を壁顆粒膜細胞と培養するとTZPが形成され,卵母細胞は発育した。卵丘細胞の増殖や形態の変化にはFSHに加え,卵母細胞由来の成長因子がかかわっていることも示唆された。
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