研究実績の概要 |
前年度に引き続き、ブタ自然リンパ球(ILC)の刺激・同定に用いる各種ブタインターロイキン(IL)の合成および精製とその活性の確認を行った。ブレビバチルス菌を用いて作成したIL-18 およびIL-25は活性が十分ではなかったため、CHO/K1細胞を用いた哺乳類細胞培養系による合成とFLAGタグによる精製を試み、回収に成功した。さらに、IL-18 については、KG1細胞におけるIFNγ発現誘導、IL-25についてはIL-25受容体を導入した293細胞におけるNFκB転写活性の誘導が各々確認され、回収した両ILが活性を持つことが示された。 IL-33については、ブレビバチルス菌を用いて合成し、Hisタグに対するアフィニティカラム・イオン交換カラムを用いた精製を行った。さらに、IL-33受容体を発現する293細胞におけるNFκB転写活性の誘導が確認され、回収したIL-33が活性を持つことが示された。前年度、CHO/K1細胞での合成・回収の系を確立したIL-12、IL-23と合わせ、計画した5種類のILを使用した解析を行う準備が整った。 一方で、野性型ブタを用いて、ILCに相当する細胞が存在するかどうかを確認するため、FACS解析の条件検討を実施した。他種における知見をもとに、分化細胞マーカー(CD3, CD8, CD14, CD16, CD21)陰性画分(lin-)のうち、T-bet陽性の画分がILC1、GATA3陽性の画分がILC2、RORγt陽性の画分がILC3に相当すると考え、末梢血およびリンパ節・脾臓・肺由来の血球系細胞でその有無を検討した。その結果、末梢血および各組織中において、少数ではあるが、ILC1~3の存在を確認することができた。
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