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2022 年度 実績報告書

血漿漏出と骨髄抑制を伴うデングウイルス感染マウスモデルを用いた重症機序の解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K08145
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

黒須 剛  国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (70432432)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワードデングウイルス / サイトカインストーム / 好中球 / マウスモデル / 血漿漏出 / IL-6 / IL-17 / ガンマ・デルタT細胞
研究実績の概要

デングウイルス感染症は、血管透過性の亢進と血小板減少症を特徴とし、重症化するとサイトカインストームが起こり、血漿漏出による出血を伴うショック症状に陥る。その病原機序は明らかではなく、効果的な治療法・予防法はない。本研究では独自に開発した血漿漏出と血小板減少症、骨髄抑制を観察できるデングウイルス感染新規マウスモデルを用いて重症化機序を明らかにすることを目的とした。
本研により、TNF-αに加えて病態進行に重要なのは、IL-17A産生であることが明らかになった。感染により非感染マウスにはほとんど存在しないIL-17A産生Vγ4,6型のTCRを持つγδT細胞が選択的に増殖していることが判明した。同じV鎖のパターンを示すのは胸腺であった。非感染マウス胸腺由来のガンマ・デルタT細胞を感染マウスにトランスファーすると腸管へ輸送された。細胞の選択的な増殖の原因は明らかではないが、この結果はなんらかの特定の刺激がIL-17A産生型のガンマ・デルタT細胞増殖を引き起こしたと考えられた。IL-17AはTNF-αなどと協調してIL-6などのサイトカイン産生を増強することが知られており、サイトカインストームに関与すると考えられる。今後IL-17A産生型のガンマ・デルタT細胞増殖をトリガーする機序が解明されれば、サイトカインストームによる病態機序を理解するための重要な知見が得られると考えられた。
またマウス生存率を上げるTNF-αやIL-17Aシグナル阻害機序について明確な観察を得た。これらの処理は、腸管でのガンマ・デルタT細胞、好中球などの増殖・動員を阻害しないが、上皮細胞、間質細胞でのNF-κBによる転写活性化、つまりp65の核移行を阻害した。つまりこれがIL-6などのサイトカイン・ケモカイン産生の抑制に導き、好中球コラゲナーゼMMP-8産生を防止し、血漿漏出を抑制した原因であることが判明した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Chimeric flavivirus causes vascular leakage and bone marrow suppression in a mouse model2023

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Kurosu, Keiko Hanabara, Azusa Asai, Sabar Pambudi, Supranee Phanthanawiboon, Magot Diata Omokoko, Yusuke Sakai, Tadaki Suzuki, Kazuyoshi Ikuta
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun .

      巻: 659 ページ: 54-61

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.04.003

    • 査読あり
  • [学会発表] 致死性デング出血熱マウスモデルを用いたTNF-シグナル阻害による防御効果の分子機序解明2022

    • 著者名/発表者名
      黒須剛、奥崎大介、坂井祐介、Mohamad Al Kadi、下島昌幸、吉河智城、福士秀悦、永田典代、鈴木忠樹、海老原秀喜、西條政幸
    • 学会等名
      第69回日本ウイルス学会学術集会
  • [学会発表] Interleukin-17A released from intestinal γδT cells induces cytokine storm in mice with severe dengue2022

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Kurosu, Daisuke Okuzaki, Yusuke Sakai, Mohamad Al Kadi, Supranee Phanthanawiboon, Yasusi Ami, Masayuki Shimojima, Tomoki Yoshikawa, Shuetsu Fukushi, Noriyo Nagata, Tadaki Suzuki, Daisuke Kamimura, Masaaki Murakami, Hideki Ebihara, Masayuki Saijo
    • 学会等名
      第52回日本免疫学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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