昨年度から引き続き、代謝に関与すると予想される機能未知遺伝子を標的として、ガイドRNAを4種類作成し、ノックアウト個体の作出を行った。 令和4年度は、CRISPR-Cas9による遺伝子ノックアウトについて実施した。 gRNAの切断効率を調べるため、標的遺伝子の機能ドメインに4箇所のgRNAを設計して、これらをCas9タンパク質と共にカイコの胚に注入した。昨年度、gRNA1の切断効率が良いことが明らかになっていたので、このgRNAを用いて、ノックアウト系統を単離した。標的遺伝子周辺が約30bp欠損しているアリルを持つ個体を維持することに成功した。 この遺伝子のノックアウト個体のヘテロの個体については、表現型が見られず、系統維持が可能であった。今後はホモ個体を得て、遺伝子機能の解析を行う予定である。 また、TALENによる遺伝子ノックインについて、ある組織特異的発現遺伝子の開始メチオニン部位にGal4を導入することに成功した。遺伝子組換えカイコを用いた機能解析には、遺伝子の発現を異所的に誘導することや組織特異的に誘導することが必要である。そこで組織特異的遺伝子を利用したGAL4発現系統を作成した。開始メチオニン直後にGAL4遺伝子を部位特異的ノックインにより挿入した。このGAL4の発現について、UAS-GFP系統を交配して、GFPの発現により遺伝子が誘導される部位を確かめたところ、挿入した遺伝子の発現と同様であった。このことから組織特異的プロモーターの作出に、特異的遺伝子の領域が有効であることがわかった。
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