木材を腐朽する真菌の一種である白色腐朽菌類は、木材腐朽時に栄養源を加え、低酸素条件におくと木材からエタノールを産生することが知られている。幾つかの白色腐朽菌の木材からのエタノール産生特性を調査したところ、Phanerochaete sordidaのみが栄養源無添加時に木材から再現よくエタノールを産生した。この菌の発酵特性を詳細に調査したところ、高糖濃度条件下では、呼吸代謝系の余剰ピルビン酸をエタノール発酵に利用可能な事、糖取込を向上させると発酵量が増加する事を明らかにした。また本菌は、木材腐朽時に低酸素ストレスに対する短期の応答機構としてエタノール発酵機構を利用しているようであった。
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