研究実績の概要 |
1.微生物分解経路の解析およびマトリックスの作成 微生物分解マトリックス化試験に先立ち、芳香族縮合型複素環化合物と環境汚染に関する文献調査を行い、検討基質として脱硫分解報告が少ないもの(チアンスレン(TH))、脱硫分解報告がないもの(フェノキサチイン(PX)、フェノチアジン(PH)、スルファメトキサゾール(SMX))を選抜した。研究室保存の各種有機硫黄化合物分解菌を用いて培養試験を行ったところ、DBT脱硫細菌R.erythropolis KA2-5-1はTH、PX、PHを唯一の硫黄源として生育した。さらに上記培養抽出液のGC-MS解析結果から、分解中間体の構造を推定した結果、スルホン化合物を経由するこれまで報告のない代謝経路によることを明らかにした。また、Gordonia sp. TM414株はTHを同様に分解することも明らかにした。 2.分解関連遺伝子の解析 上記分解特性の結果と分解遺伝子の関連を明らかにすることを目的に、KA2-5-1株由来の脱硫遺伝子群dszA, B, CをRhodococcus sp.を宿主として発現する各種発現ベクターを用いて評価した。その結果、KA2-5-1株において認められた分解基質をいずれも同じ分解経路で分解することが分かり、dsz遺伝子群が分解に関与していることが明らかとなった。 ベンゾチオフェン(BT)の硫黄分を選択的に酸化除去する能力(以下BT脱硫)のあるRhodococcus jostii T09株のBT脱硫遺伝子解明を目的に、T09遺伝子破壊株を構築するための基礎的検討を行った。トランスポゾンベクターの電気パルス法による検討の結果、生育培地および電圧が形質転換効率に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会発表を1回にまとめたため、当初予定の2学会参加が1学会に減少した。また、培養抽出物解析による代謝中間体の構造を速やかに決定できたため、分析関連経費が抑えられた。 次年度は、国際会議参加を含め、積極的に学会発表を実施すると共に、代謝中間体の構造決定を促進するために外注分析も検討していくこととする。 次年度使用計画(概算、単位円)学会参加(国内2名、2回)-200,000(計画通り),学会参加(国外2名、1回)-600,000(計画増),消耗品-1,950,000(計画通り),合計2,750,000
|