研究課題/領域番号 |
17K08179
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
古谷 勝則 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (10238694)
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研究分担者 |
ルプレヒト クリストフ 総合地球環境学研究所, 研究部, 上級研究員 (90783895)
高瀬 唯 茨城大学, 農学部, 助教 (00793803)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | グリーンインフラ / 緑地 / 伝統的緑地 / インドネシア / Alun-Alun / 心拍数 |
研究実績の概要 |
グリーンインフラの活用推進が日本国内で求められている。グリーンインフラは、災害リスクの低減だけでなく、レクリエーションの観点から市民の生活の質を高める可能性がある。 まず、海外の事例としてインドネシアでAlun-Alunと呼ばれている伝統的緑地の状況を調査した。インドネシアの伝統的緑地は、植民地時代から存在し、公式な緑地と非公式な緑地の中間に位置すると予想して研究を進めた。伝統的緑地の成立課程と、住民の意識を調査した。伝統的な緑地は、植民地時代から現在に至るまでジャワ島全体に存在しており、ジャワ島全体で90か所を確認し、その空間様式の特徴を明らかにした。 次に、日本の松戸市で、緑地の持つ生理的効果と心理的効果を高齢者を対象に調査した。この調査では、都市公園と市街地における季節別の違いに着目した。今回の調査では、都市公園のような緑地で桜や新緑を見ると、市街地の眺めよりも、血圧が低くなった。さらに、活力が有意に高くなり、緊張や不安は有意に低くなった。これら調査結果より、都市公園などの緑地を見る(利用する)ことが生理的および心理的リラクゼーションをもたらすことを再確認した。 さらに、子供達の健康と発達に貢献する緑地とその緑地へのアクセスについて調査した。今回は、日本において自前で遊び場や緑地を持つことが少ない認可外保育施設を対象に、緑地の利用状況を、施設関係者と保護者を対象に調査した。その結果、さまざまな緑地を使用していたが、地域で利用可能な緑地の多様性、質、量、および制度的サポートが欠けていることが明らかになった。 最後に、日本の大学生を対象に緑地の意識を調査した。この結果、近所の非公式緑地の存在と複数の利点を認識しており、特に街路の縁(ふち)や、利用されていない土地などの縁が潜在的に公共の力とを補う存在であると考えられていた。
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