研究課題/領域番号 |
17K08191
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岩井 宏暁 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30375430)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 細胞壁 / いもち病 / イネ |
研究実績の概要 |
地球規模の気候変動を背景とした食料の安定供給のためには、植物の環境応答機構を理解すると同時に、その成果を下にデザインされた遺伝子組換え植物の作成と利用が必須となると考えられている。環境応答機構の中でも、特に病害による植物の生体防御機構の理解は、植物の資源利用効率の向上に大きく貢献するものと考えられている。現在までに、植物の防御応答に関して様々な抵抗性遺伝子について解析が行われてきた。しかし、細胞内でのプログラムについての研究がほとんどである。細胞外つまり細胞壁空間についての植物の病害抵抗性についての知見は、ここ30年大きな進歩がなされてきていないのが現状である。宿主植物の細胞外から攻撃をかける植物病原体との最初の攻防は細胞壁で行われる。しかし、病害による植物の生体防御機構の理解は、細胞外つまり細胞壁空間についての知見は、その細胞壁構造の複雑さ故に、ほとんど明らかにされてこなかった。本研究課題の目的は、細胞壁バイオマーカーの同定と作物の病害抵抗性診断系の構築、そして細胞壁改変することにより新規病害抵抗性作物作出の技術基盤構築にある。本年度、申請者が既に有している細胞壁改変イネライブラリーから病害抵抗性向上に有効な株をスクリーニングしたところ、ペクチンとヘミセルロースの改変イネ2種類で病害応答性の向上が観察された。イネ培養細胞を用いてそれら細胞壁多糖の分解物を投与したところ、病害応答性の指標である活性酸素の発生が確認された。また、いもち病感染細胞ダイセクションマイクロアレイによる網羅解析を行ったところ、病害応答性にリンクする有力なレセプタータイプキナーゼ(RLCK)を7遺伝子を同定した。現在、それらに関連した変異体イネの表現型を解析中である。今後、これらの細胞壁バイオマーカーの候補であるペクチンとヘミセルロースとRLCK遺伝子との関連について調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞壁改変イネのライブラリーを用いたいもち病害抵抗性ラインのスクリーニングより、病害抵抗性に関わる細胞壁成分および細胞壁分解物について候補が決定したこと、また、細胞壁分解物のレセプターおよび情報伝達経路の候補が見つかったことは大きな進展であると考えている。また、これらに関した論文が現在投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの成果について、現在論文執筆中である。細胞壁改変イネライブラリーから病害抵抗性向上に有効な株をスクリーニングにおり見出したペクチンとヘミセルロースの改変イネについて、他の環境要因との関わった時の病害応答性も調査する予定である。また、細胞壁バイオマーカーの候補であるペクチンとヘミセルロースとRLCK遺伝子との関連について調査を行い発展できるように研究を進めていきたいと考えている。まず、今年度は、RLCK遺伝子欠損イネの同定と解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
病害応答性が向上した細胞壁改変イネの、細胞壁構造解析用の抗体などの海外発注の試薬購入と受理された論文の投稿先雑誌のカラーチャージの支払いのため。
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