いもち菌等の原糸状菌は宿主である植物細胞の細胞壁を、酵素分解や物理的圧力等によって侵入する。侵入した後、どのように細胞壁が変化するかについて多くの報告があり、現在まで細胞壁はいもち菌が侵入した後の“結果”にすぎないと考えられてきた。しかし本研究により、ペクチンとヘミセルロースという細胞壁を改変した植物に対していもち菌を感染させた場合、その抵抗性が向上した。このことから、細胞壁構造は単なる“結果”ではなく、いもち菌の抵抗性を得る“原因”となっていることが示された。また網羅的解析から、新たな細胞壁マーカーである受容体キナーゼが同定できた。これらを通して新たな細胞壁を用いた病害対策育種が期待できる。
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