研究課題
分化成長中の植物組織には,遊離N-グリカン( FNG)がμM濃度で存在する。本申請課題では,FNG生成に関与する酵素群の遺伝子発現制御(抑制と過剰発現)の構築することにより, ① FNGの植物の分化・成長に関わる生理機能を実証するとともに,② FNG 機能を植物成長制御へ応用するための基盤技術開発を行うことを目的としている。2019年度は,糖鎖遊離酵素であるaPNGase 遺伝の過剰発現トマト(T2世代)において果実成熟の促進現象とFNGs量の増加を確認した。しかしながら,T4世代では熟成促進現象とFNGs量の増加は見られなくなり,過剰発現遺伝子のサイレンシングが起こった可能性が考えられた。本研究過程で,植物抽出液中のaPNGase活性の新たな検出方法を確立し,変異体植物のPNGase活性を迅速に測定することが可能になった。一方,糖鎖遊離酵素の遺伝子抑制については,A.thaliana を用いて,cPNGase/ENGase DKO(遺伝子的にはTKO)株を構築した。その結果,タンパク質品質管理系で機能する2種糖鎖遊離酵素の遺伝子抑制によっても,構造特性は異なるものの,GN2型FNGsの生成が見られたことより,ER中でのオリゴ糖-脂質中間体からポリペプチド鎖へのOSTによるオリゴ糖転移反応においてFNGsが生成していることが示唆された。更に,ERADに関係する4種のタンパク質 (ER-Man’ase, OS9, HARD1/2, Sel1) の変異株 (A.thaliana) において,FNGsの構造特性を解析した結果,それぞれの株でFNGsの構造特性あるいは生成量に違いが認められ,ERADに破綻を来した場合にはオートファジー系がFNGs 生成に関与することが示唆された。更に,FNGsに特異的なレセプターを精製するために新たな人工糖鎖ポリマーの合成に成功した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件)
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