研究実績の概要 |
申請者は,以下の解析を行った.項目(a)「PI(3,5)P2とPI(4,5)P2の局在解析」について,根毛の伸長開始,伸長中,伸長終了時のライムラプスで,ホスファチジルイノシトール3,5二リン酸[PI(3,5)P2]と PI(4,5)P2の根毛における局在変化をモニタリングし,局在解析を完了した.項目(b)「ROP10に関する機能解析」について,ROP10はPI(3,5)P2に結合することを証明したほか,PI(3,5)P2合成酵素であるFAB1はタイプⅡROPであるROP10と,PI(4,5)P2合成酵素であるPIP5KはタイプⅠROPであるROP2と特異的に結合することによって,これら4者が細胞膜に局在することを見出した.また,ROP10とFAB1は互いに依存的な関係にあることも明らかにした.すなわち,FAB1のノックダウンではROP10は細胞膜に局在できず,ROP10のドミナントネガティブ体では,FAB1は細胞膜に局在できないのである.項目(c)「ICR1に関する機能解析」について,FAB1や微小管と相互作用があることを確認したICR1の根毛特異的ノックダウン変異体EXPA7>>icr1-amiRNAはFAB1のノックダウン変異体と同様に波状の表現型であったことから,FAB1/PI(3,5)P2の根毛の側面形態の制御にICR1とそのファミリーが関与していると考えた.項目(d)「PI(3,5)P2と微小管の関係をイメージング」について,FAB1ノックアウト時やROP10のノックダウン時のときの微小管は,繊維構造が崩れフラグメント化していることを明らかにした.また,微小管のプラス端標識のGFP-EB1bの観察から,FAB1のノックダウン時に微小管のプラス端が不安定になることを証明した.さらに,FAB1ノックダウンでは一次壁ではなく二次壁の形成に欠陥があることを明らかにした.
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