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2018 年度 実施状況報告書

イノシトールリン脂質が制御する形態形成

研究課題

研究課題/領域番号 17K08200
研究機関京都府立大学

研究代表者

平野 朋子  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特任助教 (20724496)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードFAB1 / ホスホイノシタイド / 根毛の側面形成 / 表層微小管 / 二次細胞壁
研究実績の概要

項目(a)「PI(3,5)P2とPI(4,5)P2の局在解析」について,PI(3,5)P2プローブとして,2種類目を作製し,根毛の伸長の各過程におけるPI(3,5)P2の局在のイメージングに成功した.
項目(b)「ROP10に関する機能解析」について,ROP10はPI(3,5)P2の他にPI3P, PI4P, PI(4,5)P2に結合能をもつことがわかった.さらに,FAB1とROP10が直接結合すること,FAB1ノックダウンによってROP10は細胞膜から細胞質に局在が変化すること,逆に,ROP10のドミナントネガティブ体でFAB1の側面細胞膜局在が細胞質に変化したこと,などが確かめられ,直接結合するFAB1とROP10は局在が互いに依存的であることがわかった.
項目(c)「ICR1に関する機能解析」については,FAB1/PI(3,5)P2の根毛側面形態の制御に対するICRファミリーの関与の可能性から,ICR2, 3, 4, 5についても,Crisper/Cas9によってノックアウト変異体を作製し,ICR2とICR4のノックアウト変異体で波状根毛の表現型を確認した.さらに,ICR2やICR4に,Citrineを融合させたタンパク質を発現するラインを作製し観察したところ,ICR2もICR4も根毛の側面細胞膜に局在していた.
項目(d)「PI(3,5)P2と微小管の関係をイメージング」について,PI(3,5)P2欠乏条件のとき,根毛の表層微小管は極端に断片化し,GFP-EB1bで標識した微小管プラス端は極端に減少していた.
FAB1は根毛の表層微小管を制御すると共に,根毛の側面の二次細胞壁の形成も制御することが明らかとなったが,実際,FAB1ノックダウンによって根毛の側面の堅さが通常の半分程度になっていることを,原子間力顕微鏡を用いて根毛の側面強度を直接物理的に測定することで確かめた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

項目(a)から(d)について,2年間もしくは3年間で行う予定であった計画はすべて完了したほか,当初の研究項目に記載のなかった「原子間力顕微鏡による根毛の側面の強度
測定」や「PI(3,5)P2の量的関係と根毛の形態形成の数理モデルによるシミュレーション」「一次細胞壁と二次細胞壁の詳細な解析」などに成功した.
このように,現時点で,当初の研究計画を大幅に超えて,研究が進行している.

今後の研究の推進方策

根毛の側面形成を制御するPI(3,5)P2と先端成長を制御するPI(4,5)P2の領域をわける因子について研究を進める.具体的には,ホスホリパーゼDやホスホリパーゼCの局在解析,変異体解析,イノシトールリン脂質の結合特異性に関する解析を中心に行う.
また,根毛における二次細胞壁形成のための成分を分泌する機構についても研究を進める.具体的には,SNARE分子の同定を行う.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Diverse Physiological Functions of FAB1 and Phosphatidylinositol 3,5-Bisphosphate in Plants.2019

    • 著者名/発表者名
      Hirano T, Sato MH.
    • 雑誌名

      Front Plant Sci.

      巻: 22 ページ: 274

    • DOI

      10.3389/fpls.2019.00274.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Physiological Functions of Phosphoinositide-Modifying Enzymes and Their Interacting Proteins in Arabidopsis.2018

    • 著者名/発表者名
      Hirano T, Sato MH.
    • 雑誌名

      Adv Exp Med Biol.

      巻: - ページ: -

    • DOI

      1007/5584_2018_295.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] PtdIns(3,5)P2 mediates root hair shank hardening in Arabidopsis.2018

    • 著者名/発表者名
      Hirano T, Konno H, Takeda S, Dolan L, Kato M, Aoyama T, Higaki T, Takigawa-Imamura H, Sato MH.
    • 雑誌名

      Nat Plants.

      巻: 4 ページ: 888-897

    • DOI

      10.1038/s41477-018-0277-8.

    • 査読あり
  • [学会発表] イノシトールリン脂質が制御する根毛の形態形成2018

    • 著者名/発表者名
      平野 朋子
    • 学会等名
      植物学会
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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