研究課題/領域番号 |
17K08202
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大西 英博 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (70399955)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ロジウム / アリルアルコール / アルキン / エニン / 環化反応 / 不斉反応 |
研究実績の概要 |
ロジウム錯体と分子内にアリルアルコール部位を持つエニンとの反応を検討した。まず、配位子の検討を行なったところ、二座配位子であるH8-BINAPを用いて反応を行うと、側鎖にアルデヒド基を持つ5員環化合物が良好な収率及び不斉収率で生成することがわかった。次に、本環化反応の基質の適用範囲を調べることにした。その結果、基質のアルキン末端上にフェニル基やエステル基など様々な置換基を導入しても、反応は速やかに進行し、対応する5員環化合物を良好な不斉収率で与えることがわかった。そこで、本反応の反応機構に関する知見を得るために、アリル位がD化された基質を用いて反応を行なったところ、想定するメカニズムで本反応が進行していることが示唆された。すなわち、本反応ではまずエニンがロジウム錯体に酸化的環化付加し、5員環ローダサイクル中間体を与える。続いて、O-H結合とRh-C結合の間でシグマボンドメタセシスが進行し、ベータ水素脱離を経て5員環化合物を与えたと考えられる。また、2級のアリルアルコール部位を持つエニンを用いて反応を検討したところ、この場合にも5員環化合物が良好な収率で生成することがわかった。尚、この反応では用いた基質がラセミ体であるにも関わらず、良好な不斉収率で5員環化合物を与えることも明らかになった。そこで、さらに反応機構の詳細に検討したところ、本反応では基質の絶対配置が生成物の絶対配置ではなく、不斉収率に影響していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ロジウム錯体と分子内にアリルアルコール部位を持つエニンとの反応で、7員環ケトンを生成する新しい環化反応も見出しているが、こちらの反応機構に関する詳細な検討や基質の適用範囲に関する研究が計画通りには進行していない。この反応に関しては、基質の構造が反応経路に大きく影響を与えるため、反応開発が当初よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
7員環ケトンを与える環化反応に関する反応機構の解析を行い、どのような基質をデザインすると効率よく環化反応が進行するか明らかにする予定である。また、今回検討している2つの分子内反応を分子間反応へと展開する予定である。
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