研究課題/領域番号 |
17K08209
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
稲垣 冬彦 金沢大学, 薬学系, 准教授 (80506816)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Z型配位子 / 金 / 触媒反応 / 環化反応 / 金属活性化 |
研究実績の概要 |
昨年度まで行っていたZ型配位子に官能基を導入した錯体の合成及び、そのカチオン性触媒を用いたイン-ジオール体の連続的分子内環化反応に関する7員環構築の論文を投稿し、Organometallics誌にて受理された。また、昨年度まで検討していたプロパルギルアミン誘導体のカルボキシル化反応においても、空気中室温下にて目的のオキサゾリジノン誘導体を高収率で合成できることを見出し、基質適用範囲を検討し、現在、論文リバイス中である。更に、イン-ジオール体の連続的分子内環化反応により、8員環の構築が可能であることも新たに見出した。エン-オール体による7-endo-trig型の環化反応が進行することも見出し、7員環環状エーテル構造の構築が可能となった。エン-アルキン酸を用いた分子内環化反応では、形式的な[4+2]環化付加反応が進行し、ラクトン構造を含む二環性化合物の合成が可能であることも見出した。尚、本反応の開発途上で、アルキン酸からの脱炭酸反応、アルキンの水和反応が進行することも明らかとなった。現在、本検討結果については論文投稿準備中である。Z型錯体であるAu(DPB)Clに、超原子価ヨウ素を用いて酸化を試みたところ、金が酸化されたAu(DPB)Cl3様の錯体が得られることも見出しつつあり、今後、構造解析を詳しく行っていく。また、その錯体を用いると、従来とは異なる様式での反応が進行することも初期検討で見出すに至った。また一連の研究成果から、Z型配位子をロジウム触媒へ組み込む新たな戦略の立案に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた計画とは異なるが、新たな錯体形成や触媒反応への応用展開が可能になりつつあり、電子受容性型配位子の持つ効果が明らかになりつつあるため、当初の計画以上に進展していると判断した
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今後の研究の推進方策 |
現在、リバイス中であるプロパルギルアミン誘導体のカルボキシル化反応や論文投稿準備中であるエン-アルキン酸を用いた分子内環化反応の論文アクセプトを目指す。 更に、イン-ジオール体の連続的分子内環化反応による8員環構築、エン-オール体の7-endo-trig型の環化反応による7員環環状エーテル構造の構築の条件精査と基質適用範囲を見極める。また、3価のZ型錯体であるAu(DPB)Cl3の構造解析を行い、その触媒を用いた新反応の生成物や反応機構を明らかにしていく。また、新たにRh触媒とZ型配位子を組み込んだ新規錯体を合成し、その錯体の解析や触媒反応としての性質についても明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定よりも順調に研究が進行し、必要物品費等に余裕ができたため。次年度以降は、当初予定を上回る研究のさらなる推進のため、次年度使用額分を使用する予定である。
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