研究実績の概要 |
2-ピリドンは、ジエンに共役した環状アミド構造を有し、NHは、カルボニル酸素と水素結合を形成し、C=Oは、水素結合受容体として作用する。研究代表者らは、2-ピリドンを共役ブレンステッド酸・塩基触媒として利用することを独自に発想し、これまでに、3,5,6-トリフルオロ-2-ピリドンがアルデヒドとイソシアニド、水を用いたPasserini型三成分連結反応を触媒し、効率的にα-ヒドロキシアミド体を与えることを見出している。本研究期間中では、本反応の立体選択性を制御する光学活性2-ピリドンの創出、ならびに、本反応の中間体であるニトリリウムカチオンの分子内求核性官能基による捕捉を計画した。 本年度は、前年度に引き続き、3位にイソシアノエチル基を有するインド-ルと各種アルデヒドの付加・環化カスケード反応を検討した。本反応の生成物は、不安定であり単離できなかったが、各種検討の結果、生成物に含まれるイミン構造がその不安定性の原因であることを突き止めた。すなわち、3,5,6-トリフルオロ-2-ピリドンを触媒に用いた2-イソシアノエチルインドールとピバルアルデヒドの付加・環化カスケード反応後、水素化ホウ素ナトリウムで処理することにより、73%と良好な収率で3位にスピロ環を有するインドリンが得られることを見いだした。さらに、生成物のイミンは、Ugi反応にも適用することができ、上記付加・環化カスケード反応後に、酢酸とtert-オクチルイソシアニドを添加することで、1ポットで4成分が連結したインドリンを44%収率で得ることができた。
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