N-アシルニトロン形成時に、オキシム窒素の非共有電子対の受容部分とオキシム水素の水素結合のアクセプターとが同一方向に向いているアシル化剤が都合が良い。それには、ヘテロクムレン(R-N=C=X)が最適と思われた。すなわち、R-N=C=Xの非共有電子対と中央炭素のp 軌道は同一平面上にあり、オキシムと反応してスムーズにアシルニトロンを形成すると考えられる。予備的な実験ではPh-N=C=Oで良い結果が得られている。N-アルキルイソシアナート(R-N=C=O)、N-アルキルチオイソシアナート(R-N=C=S)、ジアルキルカルボジイミド(R-N=C=N-R)等各種ヘテロクムレンを分子内にオレフィンを有するオキシムに試した。その結果、(1) いずれのヘテロクムレンを用いても、ニトロン形成に続く分子内付加環化反応が進行すること、競争反応の結果から、(2) 反応性は、N-アルキルイソシアナート(R-N=C=O)> N-アルキルチオイソシアナート(R-N=C=S)> ジアルキルカルボジイミド(R-N=C=N-R)であることが分かった。また、R-N=C=Oを用いて生成する分子内付加環化成績体の尿素構造の除去は、エチレンジアミン(H2NCH2CH2NH2)を用いると収率よく進行する事が分かった。
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