研究課題/領域番号 |
17K08229
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
山本 康友 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (10452278)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 有機強塩基 / 触媒反応 / リチウムアミド |
研究実績の概要 |
リチウム反応剤は求核性が高く求電子剤との結合形成反応に用いられる。リチウム塩存在下で有機強塩基による反応剤を脱プロトン化すれば、リチウム反応剤が調製できると期待した。本手法は触媒反応へ適用できる可能性を秘めている。平成29年度は以下の成果を得た。 1) 塩基触媒を用いたアミノアルケンの分子内ヒドロアミノ化反応について塩基の検討をした。無機塩基やトリエチルアミン、DBU等の一般に良く用いられる塩基では反応は全く進行しなかったが、極めて高い塩基性を示すホスファゼンP4塩基でアミノアルケンの5-exo環化反応が定量的に進行した。 2) アミノアルケンの分子内ヒドロアミノ化について基質一般性を検討した。アミンとアルケンの間にベンゼン環構造を持つ場合は環化が早く、また5-exo環化の方が6-exo環化よりも反応が早かった。本法はテトラヒドロイソキノリンおよびイソインドリン骨格構築に有効であった。 3) ホスファゼン塩基による分子内ヒドロアミノ化において、リチウム塩の添加を検討したが、現在のところ顕著な反応加速は見られていない。 4) N-アリルアミンのα,β-不飽和エステルへの共役付加反応が、ホスファゼン塩基存在下進行することが分かった。 5) N-アリルリチウムアミドのα,β-不飽和エステルへの不斉アザマイケル付加-環化連続反応が、不飽和エステルβ位に芳香族、脂肪族いずれの置換基を持つ場合においても高立体選択的に進行することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
有機強塩基による触媒的分子内ヒドロアミノ化反応では広い基質一般性を確認することが出来たが、リチウム塩の添加による顕著な反応加速効果は十分に確認できていない。引き続き強塩基、アミン、リチウム塩の検討を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
ホスファゼン塩基による触媒的分子内ヒドロアミノ化環化反応では、基質によっては反応速度が極めて遅いことが明らかとなった。当研究室で以前に報告したリチウムアミド触媒による分子内ヒドロアミノ化反応に比べるとホスファゼン触媒反応は極めて遅く、これはリチウムによる分子内アルケンの活性化が重要である可能性を示唆している。ホスファゼン触媒反応におけるリチウム塩の反応加速効果を引き続き検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬等の物品費の一部を他予算で充足できたため
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