研究実績の概要 |
ヘテロ原子を有する芳香族化合物の酸化による結合形成反応は合成化学的また生合成機構的にも、極めて重要な反応である。最近我々の研究室では、3価の超原子価ヨウ素化合物を用いた芳香族化合物類の酸化的クロスカップリング反応を見出した。最近では、フェノール類やアニリン類の触媒的クロスカップリング法を達成している。そこで本触媒的酸化法の更なる発展を目指し、フェノール類及びアニリン類といったヘテロ原子を有する芳香族化合物の結合形成反応による、新規骨格形成反応の展開を行った。 芳香環上にOH基を有するフェノールを含むビアリール化合物は生物活性天然物などの有用物質に見られる部分骨格で、その合成法は重要な研究課題である。本年は研究代表者はヘテロ原子を有する芳香族化合物の有機触媒を用いたカップリング法による新規結合形成反応の開発を目的とする。研究代表者はフェノール類の酸化的カップリング反応のヨウ素反応剤の触媒化を検討し、最近フェノール類と芳香族化合物との分子間クロスカップリング反応が、効率的に進行することを明らかとした。有機金属触媒を用いても全く達成されていなかった、フェノール類と芳香族化合物との触媒的クロスカップリング反応にも成功した(Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 3652.)。そこで本反応を応用し、アニリン類の新規結合形成反応の開発を行った(Synlett,2017,28, 2941-2945)。
|