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2017 年度 実施状況報告書

亜鉛イオンの特性を利用した不安定リン酸化シグナルの蛍光分析法

研究課題

研究課題/領域番号 17K08237
研究機関広島大学

研究代表者

小池 透  広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 教授 (90186586)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードプロテオミクス / リン酸化分子 / 蛍光分析 / 亜鉛錯体
研究実績の概要

本研究は,マイクロモル濃度のリン酸化生体分子を,生理条件下で選択的に捕捉する低分子亜鉛錯体化合物を用いて,生体機能制御を担う不安定なリン酸化シグナル分子の蛍光分析法の開発を目的とする。その研究手法は,現在汎用されているリン酸化シグナルの分析法と比較して,高精度かつ極めて短時間で定量解析することを可能にし,簡便な操作性や安全性などの利点をもち,癌やアルツハイマーなどの治療薬や次世代の抗菌薬の開発に役立つオリジナルな分析技術である。本年度は,可視光領域の蛍光分析が可能なテトラメチルローダミン(TAMRA)をもつリン酸化分子捕捉機能を有する機能性分子を用いた2種類の蛍光分析法の開発に成功した。1)アルカリホスファターゼ(ALP)は,リン酸化合物の加水分解反応やリン酸基転移反応を促進する生体内機能性分子である。本研究では,ピロリン酸を基質とするALP活性の新規蛍光分析法を開発した。リアルタイム分析では,初期蛍光強度変化よりALP濃度に依存した加水分解速度の増加を確認できた。また,ALPアイソザイム分析では,活性阻害評価によるアイソザイム特異性の分析にも有用であることを明らかにした。2)リン酸化アスパラギン酸含有不安定リン酸化タンパク質の電気泳動では,泳動後の染色などの処理によりリン酸基が加水分解除去される問題がある。本研究では,生理pH条件下数時間程度でリン酸化タンパク質の蛍光染色を可能にする手法を開発した。その手法は,蛍光染色分子としてTAMRA-Phos-tagを使用し,染色と脱色の2つの操作をそれぞれ1時間で行うことが可能であり,10μg以上のリン酸化タンパク質を選択的に定量分析することができる。次年度は,実用化に向けて必要となる実施例の作成を進めるとともに他の蛍光発色団についても検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の研究計画にしたがって,問題なく順調に研究成果が得られており,学内外でその研究成果を発表している。さらに,電気泳動ゲル内の不安定リン酸化タンパク質のオリジナルな蛍光染色法の開発にも成功した。

今後の研究の推進方策

研究計画の変更は全くありませんが,本研究過程で見出したセレンディピティ的な研究成果に基づいた新しい蛍光分析法の検討も並行して進めて行きたいと思います。本年度に開発した2つのオリジナルな研究手法については実用的なものとして世界中の先端装薬研究現場に届けられることを目ざし,産学連携について模索していきたいと考えています。

次年度使用額が生じた理由

購入したい消耗品の金額以下の予算残高になったため,次年度予算として利用を希望しました。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] TAMRA/TAMRA fluorescence quenching systems for the activity assay of alkaline phosphatase2017

    • 著者名/発表者名
      A. Shiba, E. Kinoshita-Kikuta, E. Kinoshita, and Tohru Koike
    • 雑誌名

      Sensors

      巻: 17 ページ: 1877-1888

    • DOI

      10.3390/s17081877

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A Phos-tag-based micropipette-tip method for rapid and selective enrichment of phosphopeptides2017

    • 著者名/発表者名
      E. Tianfei Yuan, Y. Ino, M. Kawaguchi, Y. Kimura, H. Hirano, E. Kinoshita-Kikuta, E. Kinoshita, and Tohru Koike
    • 雑誌名

      Electrophoresis

      巻: 38 ページ: 2447-2455

    • DOI

      10.1002/elps.201700175

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 亜鉛酵素モデルに対するリガンドの親和性を解析する新規分光分析法の開発2018

    • 著者名/発表者名
      草本 寛,芝 晃生,常弘昌弥,藤岡晴人,木下英司, 木下恵美子, 小池 透
    • 学会等名
      日本薬学会第138年会
  • [学会発表] 蛍光クエンチングを用いるアルカリホスファターゼ分析の新規蛍光分析法の開発2018

    • 著者名/発表者名
      芝 晃生,木下英司, 木下恵美子, 小池 透
    • 学会等名
      日本薬学会第138年会
  • [学会発表] 蛍光クエンチングを用いる脱リン酸化酵素活性の新規蛍光分析法の開発2017

    • 著者名/発表者名
      芝 晃生,木下恵美子,木下英司,小池 透
    • 学会等名
      日本電気泳動学会第68回総会
  • [学会発表] 金属配位結合を利用したプロテオミクス2017

    • 著者名/発表者名
      小池 透
    • 学会等名
      日本電気泳動学会第68回総会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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