銅は高い酸化還元能のため、活性酸素種生成の原因となる。脳は高い脂質含量等により、酸化を受け易い器官であるが、脳における抗酸化ストレス機構については未だ不明な点が多い。本研究では、オピオイドペプチドとして知られるエンドモルフィン1(EM1)が、SDSミセル結合状態において、2価および1価の銅と結合する能力を持つことを明らかにした。EM1は細胞膜脂質の抗酸化に関わる可能性がある。さらに、神経伝達物質であるセロトニンが、銅取り込みタンパク質Ctr1のメチオニンに富む領域の存在下で、2価銅を還元することも示された。細胞外2価銅の還元は、セロトニンの神経伝達以外の生理的役割であると予想される。
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