研究課題/領域番号 |
17K08249
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
金沢 貴憲 日本大学, 薬学部, 講師 (60434015)
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研究分担者 |
鈴木 豊史 日本大学, 薬学部, 教授 (20267115)
小菅 康弘 日本大学, 薬学部, 准教授 (70383726)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Nose-to-Brain / ドラッグデリバリー / 高分子ミセル / 細胞透過性ペプチド / 経鼻投与 / バイオ医薬 / 中枢神経系疾患治療 / ALS |
研究実績の概要 |
昨年度までの研究によって、粘膜透過性ペプチドTat修飾PEG高分子ミセル(Tatミセル)を開発し、このTatミセルがバイオ医薬のNose-to-Brainデリバリーを顕著に促進することを定量的に明らかとした。令和元年度は、Tatミセルを用いたバイオ医薬のNose-to-Brainデリバリー技術の有用性を明らかとすることを目的とし、本技術を用いてバイオ医薬を投与した際の中枢神経系疾患モデル動物に対する治療効果を検証した。 はじめに脳虚血再灌流障害治療に対して抗NF-κB siRNAをTatミセルと併用して経鼻投与した際の神経保護効果について脳虚血再灌流障害モデルマウスを用いて検討した。結果より、Tatミセル併用抗NF-κB siRNA経鼻投与群は、未治療群や抗NF-κB siRNA単独経鼻投与に比べて、神経保護効果の指標である梗塞体積の増大や脳虚血領域における炎症性サイトカインのmRNA発現量を顕著に抑制した。 次に筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対して神経保護作用が報告されているペプチド性薬物のシクロスポリンA(CysA)をTatミセルに封入して経鼻投与した際の治療効果を代表的な重症モデルであるhuman SOD1(hSOD1)(G93A変異体)トランスジェニックマウスを用いて検証した。治療効果は、Rota-rodによる運動機能のモニターおよびウエスタンブロットによる運動ニューロンマーカー(SMI-32)の発現量から評価した。結果より、CysA封入Tatミセルの経鼻投与群は、CysA単独経鼻投与群や腹腔内投与群で認められた運動機能の低下とSMI-32発現減少を顕著に抑制した。 以上、Tatミセルを用いたsiRNAやペプチド性薬物の経鼻投与により、中枢神経系疾患治療効果が実証されたことから、Tatミセル併用経鼻投与法は、有用な中枢標的バイオ医薬デリバリー戦略となることが期待される。
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