研究課題/領域番号 |
17K08251
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
服部 喜之 星薬科大学, 薬学部, 教授 (90350222)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | siRNA / がん治療 / リポソーム / コンドロイチン硫酸 |
研究実績の概要 |
初年度の研究目的は、コンドロイチン硫酸投与直後にsiRNA/正電荷リポソーム複合体(siRNAリポプレックス)を投与することにより、siRNAリポプレックスの肺での集積量を減少させ、効率よく肝転移がんにsiRNAを送達させることができる正電荷リポソームの組成の検討を行うことである。siRNAの導入効率は、主に正電荷リポソームに含まれる正電荷脂質に大きく影響を受けるため、これまで当研究室で合成した6種類の正電荷コレステロール誘導体を用いてsiRNA送達用正電荷リポソーム製剤を調製した。siRNAリポプレックスをヒト乳がんMCF-7細胞のルシフェラーゼ発現安定株に添加して遺伝子発現抑制効果を調べたところ、5種類の正電荷リポソームが高い遺伝子発現抑制効果を示した。また、siRNAリポプレックスによる赤血球溶血性を調べたところ、遺伝子発現抑制効果が高い5種類の正電荷リポソームは溶血性を示さなかった。さらに、マウスにコンドロイチン硫酸静注1分後に、蛍光(Cy5.5)標識siRNAを用いて調製したsiRNAリポプレックスを静注したところ、6種類のsiRNAリポプレックスいずれも肝臓で高い集積性が観察された。以上の結果から、コンドロイチン硫酸とsiRNAリポプレックスの連続投与は、正電荷リポソーム組成中の正電荷コレステロール誘導体の違いに関わらず、肝臓にsiRNAを送達できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画書に記載した研究内容に従い、正電荷リポソームの調製、培養細胞を用いたsiRNA導入効率の検討ならびにマウス静注後のsiRNAの体内動態の評価を終えており、問題なく研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
正電荷リポソーム組成に含まれる正電荷コレステロール誘導体の違いに関わらず、コンドロイチン硫酸とsiRNAリポプレックスの連続投与により肝臓で高いsiRNAの集積性が認められたため、今後はコンドロイチン硫酸とsiRNAリポプレックス連続投与後の肝臓またはがんが転移した肝臓における標的遺伝子の発現抑制効果について検討を行う。
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