研究課題/領域番号 |
17K08255
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
伊納 義和 愛知学院大学, 薬学部, 講師 (90434547)
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研究分担者 |
大井 義明 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (50334735)
古野 忠秀 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (80254308)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リポソーム / エクソサイトーシス |
研究実績の概要 |
リポソームが、様々な細胞のエクソサイトーシス分泌に及ぼす影響とそのメカニズムを解明し、エクソサイトーシス異常が要因となる疾患に対する新たな治療法を開発するものである。 平成30年度は、前年度作製に成功した、粒子径および表面電荷の異なる数種のリポソームを用い、マスト細胞の脱顆粒に及ぼす影響を検討した。その結果、脱顆粒抑制レベルがポソームの物性により異なることが明らかとなった。またその要因について詳細な検討をした結果、リポソームの粒子径が小さくなると、マスト細胞の活性化シグナルの抑制に伴う外液からのCaイオン流入を抑制するだけでなく、分泌顆粒の細胞膜への移行を抑制することが明らかとなった。、また、リポソームの表面電荷を変化させ、マスト細胞への吸着量を変化させることにより、マスト細胞内のシグナル伝達において、異なるシグナル分子の活性化を抑制することを明らかにした。さらにマスト細胞にリポソームを添加すると、サイトカイン産生も抑制することが明らかとなった。 さらに、リポソームがマウスマクロファージ細胞株(J774A.1)、マウス神経芽細胞腫(Neuro2a)、マウス筋芽細胞株(C2C12)の活性化に伴うエクソサイトーシスに及ぼす影響について検討した。ある組成のリポソームを用い、マクロファージや神経芽細胞の活性化に伴うサイトカインの産生に及ぼす影響を測定したところ、リポソームは、これらの細胞のエクソサイトーシスに影響を及ぼさないという興味深い結果が得られた。筋細胞に関しては、活性化物質の選定、及びその条件(濃度、暴露時間等)を決定し、現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度確立したマクロファージや神経芽細胞の活性化条件(活性化物質、濃度、時間)では、エクソサイトーシスの指標としているサイトカイン産生量が少なく測定できなかった。そこで新たに活性化条件の検討を実施する必要があったため、やや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果により、リポソームによる各種細胞のエクソサイトーシスに及ぼす影響は、細胞により異なることが示唆されている。しかしながら、細胞によって最適なリポソームの物性が異なる可能性がある。そこで、物性の異なるリポソームを用いてマクロファージ、神経芽細胞、筋細胞のエクソサイトーシスに及ぼす影響について検討する。それらの結果を基盤としリポソームの各種細胞に対する最適な条件を決定し、そのメカニズムの解明を行なう。さらに抑制効果が得られた細胞に関しては、in vivo への適用を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
神経細胞や筋細胞の活性化に伴うエクソサイトーシス測定において、検出可能な活性が得られず、活性化条件を再検討した。そのため、研究分担者が実施予定の研究が実施できなかった。
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