医薬品は体内に入った後、適切に出て行かなければならない。その際に機能するのが薬物代謝酵素であるが、遺伝多型によってその機能には個人差が生じやすい。薬物代謝における個人差は薬効および副作用の個人差に直結するため、遺伝多型が薬物代謝酵素に与える影響を明確にすることは薬物治療の個人差を解明する上で極めて重要である。本研究ではそのような薬物代謝酵素の機能の個人差を分子構造のレベルから解明する上で有用である。特に静的構造が似通っているように見える分子においてもその動的構造が異なることをシミュレーションによって明らかにしており、個人差の影響を最小化するための創薬へとつながりうる成果を得た。
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